【完全ガイド】ジェイ・マスシスの使用エフェクター|Dinosaur Jr.の轟音サウンドを再現しよう
轟音ファズと甘く切ないメロディで知られる、Dinosaur Jr.のギタリスト「ジェイ・マスシス」。その分厚く暴力的な音像は、グランジやオルタナティブの枠を超えて、シューゲイザーやハードロックファンからも熱い支持を得ています。
轟音ファズと甘く切ないメロディで知られる、Dinosaur Jr.のギタリスト「ジェイ・マスシス」。その分厚く暴力的な音像は、グランジやオルタナティブの枠を超えて、シューゲイザーやハードロックファンからも熱い支持を得ています。
メーカー | モデル名 | 種類 | 主な用途 |
---|---|---|---|
Electro-Harmonix | Ram’s Head Big Muff Pi | ファズ | 轟音ディストーションの主軸 |
Electro-Harmonix | Electric Mistress | フランジャー | 空間的な揺らぎ・ディレイ風演出 |
Electro-Harmonix | Holy Grail | リバーブ | 深みと立体感の付加 |
ZVEX | Fuzz Factory | ファズ | 過激な飛び道具・ブチブチ系ファズ |
Line 6 | DL4 | ディレイ/ルーパー | ループ演出や空間処理 |
Wren and Cuff | ’73 Ram’s Head(J Mascis Signature) | ファズ | 本人監修のBig Muffクローン |
BOSS | GE-7 | イコライザー | ブースト・音作りの補正 |
ジェイ・マスシスが最も信頼を置くペダル、それが1970年代後半製の Ram’s Head Big Muff Pi。このクラシックなファズは、彼の音楽キャリア全体を通して“核”となる存在であり、Freak Sceneなどの代表曲でも使用が確認されています。
※ライブ映像およびRig Rundownにて確認済
「どのアンプに繋いでも轟音になる」と称される名機。中域の粘りと爆発的なサステインが、マスシスサウンドの“壁”を形成しています。
オリジナルは非常に高価でレアですが、2019年リリースのNanoサイズ復刻版は入手が簡単です。
ジェイ・マスシスの轟音ギターに時折混ざる、うねり・揺らぎ・広がりの正体。それが Electro-Harmonix Electric Mistress フランジャーです。彼はこのペダルを、コードカッティングやソロの隙間に使い、轟音に美しい空間的揺らぎを加えています。
特にライブでは、ファズとの組み合わせによって、まるで音が回転しながら滲んでいくような幻想的なサウンドを作り上げており、「Out There」のパフォーマンスで明確に確認できます。
出典:Premier Guitar公式 Rig Rundown – Dinosaur Jr.’s J Mascis
参考:Reddit投稿によるペダルチェイン記述およびRig Rundownでの同一配置
ファズと組み合わせることで、ただの「揺れ」ではなく、サイケデリックで轟音に包まれる“空気の歪み”を生む特異な存在。現代のフランジャーでは再現が難しいトーンです。
ジェイ・マスシスが使用しているのはヴィンテージのElectric Mistress(1970年代モデル)ですが、現在は以下の現行復刻版が入手可能です。
本格的にジェイの音を再現したい場合は、Deluxe XO版がおすすめです。
ジェイ・マスシスはリバーブに非常にこだわりを持つギタリストとしても知られています。中でも長年愛用しているのが、Electro-Harmonixの名機 Holy Grail。シンプルながら深く自然な空間を生み出し、ファズやディレイとの組み合わせで幻想的な音像を構築しています。
Premier GuitarのRig Rundown内でも紹介されており、本人のペダルボード上にHoly Grailが常設されているのが確認できます。特にリードパートやアルペジオの際にオンにされることが多く、轟音の中に“静けさ”を感じさせるような演出を支えています。
Holy GrailはRig Rundown映像でもペダルボード上に常設されていますが、具体的な使用シーンの説明/解説は未確認です。
ファズやフランジャーの混沌の中でも溺れない、明瞭で透明感のあるリバーブ。シンプル操作で「空気」を加えることができる頼れる1台。
Holy Grailは現在も現行モデルが入手可能で、Nano Holy GrailやHoly Grail Maxなど複数バリエーションがあります。
ジェイ・マスシスは、極端で過激なノイズや発振系サウンドも取り入れるギタリストとして知られています。その中でも特に異彩を放つのが、ZVEXの名作ファズ Fuzz Factory。トーンよりも“予測不能な反応”を重視し、ライブ中でも突発的な発振やノイズを演出しています。
※ZVEX Fuzz Factoryによる発振はRig Rundownおよび多数のライブ演出にて確認されており、明確な場面との紐付けはないものの、該当するサウンド特性が一致することから使用が推定されます。
ノブ1つ回すだけで世界が崩壊する。このペダルでしか得られない「暴走と爆発」を、ジェイ・マスシスは“曲の中のノイズ芸術”として取り入れています。
ZVEX Fuzz Factoryは現在も現行生産されており、筐体デザインが複数存在しますが、サウンドはすべて共通です。
ジェイ・マスシスは、ファズとディレイを重ねるサウンドアプローチを頻繁に取り入れています。中でも愛用しているのが、名機 Line 6 DL4。彼のボード上には長年このディレイモデラーが設置されており、空間演出やループセクションでの使用が確認されています。
Rig Rundown映像では、DL4を複数台使用していた時期もあったと語られ、特にライブ中のインタールードやアウトロで幻想的な音の尾を残す役割を果たしています。彼はテープエコー風やリバースディレイなど、DL4の多彩なモデリングを気分に応じて使い分けています。
多彩なディレイ+ルーパーが1台で完結。空間を操り、轟音の中に広がりと繰り返しを与える万能ツールとして、彼のプレイを支えています。
DL4は2022年に新型の「DL4 MkII」が登場。旧型と同じ操作感ながら、MIDIやIR対応など現代仕様に進化しています。
ジェイ・マスシスが数十年に渡って使い続けるヴィンテージ・Big Muff “Ram’s Head”は、その個体特有のトーンが評価されています。そんな中、Wren and Cuff社が彼の愛機を再現し、シグネチャーモデルとしてリリースしたのがこの‘73 Ram’s Head J Mascis Signatureです。
「手持ちの本物と比べても区別がつかないくらい」と語る通り、オリジナルRam’s Headを入手困難な現代において、“最も本人の音に近づける選択肢”として高い評価を受けています。
ヴィンテージBig Muffの音を“本人監修で”そのまま再現。本物を手に入れられないなら、これを買えば間違いなしという、唯一の正統後継機。
生産数は多くないため、国内流通では早めの確保が推奨されます。
多くのファズペダルは強烈な個性を持つ一方で、扱いを間違えると音が埋もれたり抜けなかったりすることがあります。そんな問題を解決してくれるのが、BOSSの定番グラフィックEQ、GE-7です。
どんなペダルでも“抜ける音”に変えてくれる魔法のツール。ジェイのように轟音系ファズを使うなら、必ずEQで補正すべきという教訓を与えてくれます。
GE-7は現在もBOSSの定番モデルとして入手可能。中古でも人気が高く、音痩せを嫌うユーザー向けのモディファイモデルも存在します。
ジェイ・マスシスのペダルボードは、一見するとシンプルな構成に見えるかもしれません。しかしその実、「轟音でありながら、歌心を失わない」という彼独自の美学が詰まったシステムです。
また、ZVEX Fuzz Factoryのような“暴れるノイズペダル”を巧みに使うことで、ライブならではのダイナミクスや、エフェクターそのものを演奏する表現力も手にしています。Line 6 DL4によるルーパー/ディレイ演出や、GE-7による音域補正など、機能性の高いユーティリティペダルも随所に配置。
このように、ジェイ・マスシスのペダルボードはただの“轟音セット”ではなく、計算された設計と感性が共存するボードなのです。