この記事でわかること
- Xotic RC Boosterの誕生背景と「RC(Rig Conductor)」の意味
- クリーンブースターとしての正しい使い方(前段・後段の違い)
- 使用が確認されているアーティストとその活用法
- V1・V2・Classic 20th Anniversaryの違いまとめ
- 国内での入手方法と現行価格
踏んだ瞬間、音が「太くなった」と感じるペダルがあります。Xotic RC Boosterはまさにそれです。歪みが増えるわけではありません。音量が劇的に上がるわけでもありません。ただ、芯が出て、ツヤが乗って、バンドの中でギターが「前に来る」感覚があります。
筆者はこのペダルを最初、チェーンの一番後ろにつないで爆音ブースターとして使っていました。それはそれで機能します。ただ後に、チェーンの先頭に差し込んだときの音の変化に「これが正解だったか」と実感しました。使う位置が変わるだけでここまで役割が変わるペダルは珍しいです。そのあたりも含めて、RC Boosterを掘り下げていきます。
Xotic RC Boosterとは?──歴史と基本スペック
開発の背景・歴史
RC Boosterが世に出たのは2002年末(12月)です。南カリフォルニア発のXoticが、「クリーンブースター」という概念がまだ一般的でなかった時代に投入した一台です。「RC」は"Really Clean"ではなく、「Rig Conductor(リグ・コンダクター)」の略であることが後に確認されています。信号系統全体を"指揮する"という思想が名前に込められています。
転機は2007年頃。フュージョン・ブルースの重鎮スコット・ヘンダーソンがXoticに改良要望を出しました。「Marshallを全開にして、RC Boosterで音をプッシュしたときに邪魔な高域ノイズを減らし、低域に重みを加えたい」という要望です。この仕様変更がシグネチャーモデル(RCB-SH)を生み、2016年に登場した現行V2の原型となっています。V1は2017年末をもって生産終了。2022年には発売20周年を記念した「RC Booster Classic」がラインアップに加わりました。
基本スペック・コントロール
RC Booster V2 基本スペック
- コントロール:Gain 1 / Treble / Bass / Volume / Gain 2(フットスイッチ切替)
- 最大ブースト量:+20dB
- EQ:±15dB 2バンド・アクティブEQ(Treble / Bass)
- バイパス:トゥルーバイパス
- 電源:9V電池(006P)または ACアダプター(別売・センターマイナス)、18V対応
- サイズ:110 × 60 × 50 mm
- 重量:280g
注意
電源アダプターはセンターマイナス仕様です。極性を間違えるとペダルが破損する可能性があるため、必ず確認してから接続してください。18Vで駆動するとヘッドルームが広がり、さらにダイナミクスが増します。
Xotic RC Boosterのサウンドの特徴と音作り
サウンドキャラクターの解説
RC Boosterの最大の特徴は、踏んでいることを忘れるくらいの「透明感」です。色付けが極めて少なく、ギター本来の鳴りをそのままプッシュしてくれます。ただ「透明」とはいえ無色ではありません。倍音が適度に持ち上がり、音の密度が増す感覚があります。チューブアンプの前段に入れると、ピッキングへのレスポンスが上がり、アンプがより「鳴っている」状態に近づきます。
回路はTube Screamer系のオペアンプ・クリッピング回路をベースに、トーン部をBaxandallスタックの2バンドEQ(Bass / Treble)に置き換えた設計とされています。これにより「中域が持ち上がりすぎる」Tube Screamer特有の癖がなく、フラットに近い出音が得られます。
筆者の実体験
最初はチェーンの一番後ろに繋いで、ソロのときの音量アップ用に使っていました。確かに音量は上がります。ただ、先頭に入れて常時オンにしたときの変化は別次元でした。「厚み」「ツヤ」という感覚が何なのかを、このペダルで初めて実感した気がします。特にBassノブを少し上げて(2時くらい)Trebleをフラット気味にすると、ストラトのクリーントーンがぐっと太くなります。
おすすめセッティング例(用途別)
①常時オン・クリーンブースター(先頭接続)
- Gain 1:9時(わずかにコンプ感が乗る位置)
- Treble:12時(フラット)
- Bass:1〜2時(少しプッシュ)
- Volume:音量差がなくなる位置に調整
チューナーの直後に入れて常時オンにします。音が自然に密になり、後段のペダルへ安定した信号を送れます。バッファ効果もあるため、長いケーブルや多数のペダルによる音痩せ対策にもなります。
②ソロブースト(後段接続)
- Gain 1:8〜9時(ほぼゼロ)
- Treble:1時(少し上げて抜けを出す)
- Bass:12時
- Volume:3〜4dB程度の音量アップになる位置
歪みペダルの後ろに置いて、ソロ時にONにします。音量が上がるだけでなく、EQで高域を少し持ち上げることで「ソロが前に出る」セッティングです。V2ならGain 2スイッチも活用して、ソロ時だけ軽いドライブを加える使い方もできます。
③アンプ・プッシュ(アンプ直前・ゲイン系として)
- Gain 1:1〜2時(やや上げ気味)
- Treble:12時
- Bass:11時(少しカット)
- Volume:12時前後
チューブアンプのインプットをプッシュしてアンプ側の歪みを引き出す使い方です。スコット・ヘンダーソンが実際に行っていたアプローチで、Marshall系アンプとの相性が良いです。ゲインをある程度上げることで、軽いオーバードライブ的な音色にもなります。
Xotic RC Boosterを使用しているギタリスト・アーティスト
RC Boosterは「アメリカのセッションシーンでは誰もが持っている」とまで言われるほど普及したペダルです。以下は使用が確認されているアーティストです。
スコット・ヘンダーソン(Scott Henderson)
RC Boosterとの関係が最も深いアーティストです。公式ペダルボード情報では、ギターから一番最初にRC Boosterへ入る信号経路が明記されており、Marshallアンプをプッシュするために常時オンで使用しています。彼の要望がそのままV2の設計に反映されており、シグネチャーモデル「RCB-SH」も存在します。ジャズ・フュージョン〜ブルースを弾く際の「アンプを鳴らしきる」使い方の手本として参考になります。
カーク・フレッチャー(Kirk Fletcher)
ブルースギタリストです。Xotic公式の20周年記念動画にも登場し、RC Boosterへの愛着を語っています。「RC Boosterが自分のボードに来てから、アンプとの相性がまったく変わった」とコメントしており、クリーントーンの土台作りに使用していることが確認できます。
アンディ・ティモンズ(Andy Timmons)
Xotic 20周年記念版のサポートアーティストの一人として公式に名前が挙がっており、長年のRC Boosterユーザーであることが公式メディアから確認できます。艶やかなリードトーンの土台にRC Boosterを使っているとされています。
カネコアヤノ
日本のシンガーソングライターです。ギター・マガジン(2023年)の取材でライブ用ペダルボードが公開されており、Xotic RC Booster(初代)がKlon KTRの後段に組み込まれていることが確認されています。「タオルケットは穏やかな」ツアー時点でのセッティングで、接続順4番目にブースターとして配置されています。OP-AMP Big MuffやPhase 90と組み合わせた独自のボードが印象的です。
Xotic RC Boosterの後継機・バージョン・代替モデル比較
V1・V2・Classic 20th Anniversaryの違い
RC Boosterは現在、大きく3世代に分けられます。購入前にどれを選ぶか把握しておきましょう。
| モデル | 発売年 | フットスイッチ | Gain 2 | 18V対応 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| RC Booster V1 | 2002年 | 1つ(ON/OFF) | なし | なし | 生産終了。シンプル。中古のみ。 |
| RC Booster V2 | 2016年 | 2つ(ON/OFF + Gain切替) | あり | あり | 現行メイン。2ch構成で汎用性が高い。 |
| RC Booster Classic | 2022年 | 1つ(ON/OFF) | なし | あり | V1の回路を現代パーツで再設計。よりメロウな音色。 |
V2はスコット・ヘンダーソンモデルをベースにGain 2スイッチを追加した設計で、ソロ時のドライブアップも1台で完結できます。Classicは「V1の温度感は欲しいが、18Vヘッドルームも欲しい」という層向けです。汎用性を求めるならV2、シンプルにクリーンブーストだけ欲しいならClassicという選択になります。
他メーカーの類似・代替モデル
| モデル名 | 価格帯 | 特徴 | RC Boosterとの違い |
|---|---|---|---|
| Xotic EP Booster | 約15,000円 | 1ノブ超シンプル。エコープレックスのプリアンプ音色 | より色付きがあり、ロック系に合う |
| MXR Micro Amp | 約10,000円 | 1ノブのシンプルブースター。定番中の定番 | EQなし。純粋な音量アップ向け |
| Keeley Katana | 約15,000円 | 透明感の高いクリーンブースター | RC Boosterより少し色付きが少ないとされる |
| TC Electronic Spark Mini | 約7,000円 | コンパクト・低価格のクリーンブースター | EQなし。入門向け |
RC BoosterのポジションはEQが使えるクリーンブースターとして唯一無二に近いです。EP Boosterと比較すると、EP Boosterはエコープレックス由来の独特な色付きと太さがあり、ロックやブルースに向いています。RC BoosterはジャンルやEQ設定の自由度を重視する人向けです。
Xotic RC Boosterの入手方法と価格帯
現行モデルのRC Booster V2は、サウンドハウスで税込¥31,800(直輸入品)です。Amazonや楽天でも購入可能で、価格は概ね25,000〜32,000円前後で推移しています。Classic 20周年記念版は通常版がV2と同等価格帯で流通しています。
中古はメルカリ・ヤフオク・ReverBで15,000〜20,000円前後が相場です。初代V1の中古も流通していますが、外観が似ているため購入時はモデルをよく確認してください。
まとめ──Xotic RC Boosterはこんな人におすすめ
RC Boosterは「音を変えるペダル」ではなく「音を育てるペダル」です。踏んでいることに気づかれないくらい自然でいて、外すと「何かが足りない」と感じます。それが本物のクリーンブースターの証だと思います。
筆者の経験から言うと、チェーンの先頭に入れてBassをわずかにプッシュする使い方が最もRC Boosterらしいです。後段に入れた爆音ブーストも悪くないですが、前段での「音の密度を上げる」使い方をしてからが本番でした。
Xotic RC Boosterはこんな人におすすめ
- クリーントーンやクランチが中心で、音の「密度」と「ツヤ」が欲しい人
- チューブアンプをより効果的に鳴らしたい人
- 長いケーブルや多数のペダルによる音痩せが気になっている人
- 1台で「常時オン」「ソロブースト」両方をこなしたい人(V2)
- シンプルで操作に迷いたくないが、EQで微調整はしたい人