この記事でわかること
- ディストーションとは何か、オーバードライブ・ファズとの違い
- ジャンル別の適性・価格帯・プロの使用実績をもとに厳選したディストーション20台
- ダイオードやクリッピング方式など、音を左右する技術的な選び方の基礎
- 筆者が実際に所有・使用しているペダルの生の体験談
「最初のディストーションを探している」「ジャンルに合う歪みを見つけたい」「プロと同じ機材を使ってみたい」──そんな方に向けた、選びやすく・買いやすく・音作りに直結するガイドです。
筆者はギター歴13年。Big Muff Rams Head、ProCo RAT(Weedモディファイ)など、この記事に登場するペダルの多くを実際に所有・使用しています。リアルな使用感もあわせてお伝えします。
こんな方におすすめ
- 初めてのディストーションペダルを探している
- ディストーションとオーバードライブ・ファズの違いを知りたい
- プロと同じモデルを使ってみたい
- ジャンルに合ったディストーションを探している
- 迷わず1台を選べるようになりたい
ディストーションエフェクターとは?|初心者でも分かる基礎知識
ディストーションエフェクターとは
ディストーションエフェクターとは、音を強くクリッピング(波形を歪ませる)ことで、パワフルな音圧と明確な輪郭、長いサステインを加えるペダルです。真空管アンプを限界まで鳴らしたような激しい歪みを、手元で再現できます。
ディストーションは、回路が信号を処理する際に「ハードクリッピング」と呼ばれる方式を用います。これは信号を強く頭打ちにすることで波形を四角く整え、攻撃的で飽和感のあるサウンドを生み出すしくみです。後半の技術解説セクションで、この仕組みをもう少し詳しく掘り下げます。
初めてエフェクターを購入する方は、初心者おすすめエフェクター5選も参考にしてください。
ディストーションとオーバードライブ・ファズの違い
歪み系ペダルは大きく3種類に分かれます。ディストーションを正しく選ぶために、まずこの違いを理解しておきましょう。
| 歪みタイプ | クリッピング方式 | サウンドの特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| ディストーション | ハードクリッピング | 飽和感が強く、音圧・輪郭・サステインが豊か | ハードロック・メタル・グランジ |
| オーバードライブ | ソフトクリッピング | 真空管アンプ的な軽い歪み。ピッキングに追従 | ブルース・クラシックロック |
| ファズ | 強い飽和(潰し) | 爆発的・轟音的。最も過激な歪み | サイケ・シューゲイザー・オルタナ |
ディストーションはオーバードライブよりゲイン・飽和・サステインが多く、アンプ本来のトーンを大きく作り変えるのが特徴です。一方ファズはさらに過激な歪み方をします。「軽い歪みならオーバードライブ、ガッツリ歪ませたいならディストーション、極端な轟音ならファズ」と覚えると選びやすくなります。
ディストーションの選び方|4つのチェックポイント
ディストーションは数多くのモデルがあり、初心者は迷いがちです。次の4点を意識すると、自分に合った1台を絞り込めます。
1. 好きなギタリストの使用機材から選ぶ
最も確実なのは、憧れのギタリストが使っているモデルを調べることです。カート・コバーンならDS-1やRAT、80年代メタルならMXR Distortion+というように、サウンドの方向性が一気に定まります。
2. アンプとの組み合わせを考える
ディストーションには、クリーンアンプに挿して主役の歪みを作るタイプと、すでに歪んだアンプをさらに押し上げるタイプがあります。たとえばBOSS DS-1は、歪んだアンプに重ねるとより本領を発揮します。
3. 多機能か、シンプルかを選ぶ
3バンドEQやモード切替を備えた多機能モデルは細かな音作りができる反面、操作は複雑です。3ノブ構成のシンプルなモデルは直感的で、初心者向きです。
4. ビルドクオリティとリセールバリュー
BOSS・MXR・EHXといった定番ブランドは堅牢で、中古市場でも価値が落ちにくい傾向があります。ライブで酷使する人ほど、信頼性は重要な選定基準になります。
ワンポイント:「ダイオード」や「クリッピング方式」といった専門用語が気になる方は、記事後半の技術解説セクションで詳しく説明しています。音の違いの理由を理解すると、製品選びがさらに楽になります。
迷ったらコレ!タイプ別おすすめディストーション3選
「どれが自分に合ってるかわからない…」という方のために、用途別に特に扱いやすい1台を厳選しました。
| 用途 | 迷ったらコレ! | 理由 |
|---|---|---|
| 初めての1台 | BOSS DS-1 | 低価格・高耐久・直感的。世界で最も使われた定番ディストーション |
| 万能型 | ProCo RAT2 | オーバードライブ的にもファズ的にも振れる。1台で幅広く対応 |
| ハイゲイン | JHS Angry Charlie V3 | JCM800系のバランス良いハイゲイン。ジャンルを問わず使える |
ディストーションおすすめ20選|プロ使用&ジャンル別に徹底比較
ここからは、実際にプロアーティストが使用している実力派ディストーションを20台厳選してご紹介します。各モデルのサウンドデモ・特徴・使用ギタリスト・ジャンル適性に加え、音を決定づける回路面の特徴も解説します。
おすすめのディストーション1:BOSS DS-1|鋭くエッジの効いた王道ディストーション
歪みタイプ:ディストーション
1978年に登場したBOSS DS-1は、世界中で最も広く使われてきた"定番ディストーション"のひとつです。
シリコンダイオードによる硬質でエッジの立ったハードクリッピングが特徴で、単音のリフでもコードでも輪郭がハッキリと際立ちます。すでに歪んでいるアンプに重ねると、より本領を発揮するタイプです。
3ノブ構成で操作も直感的。低価格ながらプロも使い続けるほどの完成度で、最初の1台としても安心して選べます。
DS-1は自分が人生で一番最初に買ったエフェクター。敬愛するカート・コバーンが使っていたことで購入を決めました。踏むだけで気持ちのいいディストーションサウンドが出るし、操作もシンプル。BOSSのペダルは踏みやすくて壊れにくいのも◎。ギターを始めた頃はエフェクターボードもなく、ギターケースに裸で入れて持ち歩いていたけど、それでも全然壊れなかった。もちろんエフェクターボードはあったほうがいいですけどね。

→ DS-1使用ギタリストまとめはこちら
→ カート・コバーンの使用エフェクター解説
→ BOSS DS-1 完全ガイド(音作り・代替モデルも解説)
使用アーティスト
- カート・コバーン(Nirvana)
- スティーヴ・ヴァイ
- ジョー・サトリアーニ
- ジョン・フルシアンテ(Red Hot Chili Peppers)
よく使われるジャンル
- パンクロック
- ハードロック
- グランジ
- オルタナティブロック
おすすめのディストーション2:BOSS DS-1W(技 Waza Craft)|定番をハイファイに磨き上げた上位機
歪みタイプ:ディストーション
DS-1Wは、BOSSの技 Waza Craftシリーズとして、定番DS-1をプレミアム仕様に作り直したモデルです。
オリジナルに忠実な「Standard」モードに加え、中域が豊かで太い「Custom」モードを搭載。標準のDS-1が持つ硬質な切れ味はそのままに、より幅広い音作りに対応します。
DS-1のサウンドは好きだが、もう少し音に厚みと選択肢が欲しい――そんなプレイヤーにとって、自然なステップアップ先となる1台です。
→ BOSS DS-1 完全ガイド(DS-1Wとの違いも解説)
よく使われるジャンル
- ハードロック
- パンクロック
- オルタナティブロック
おすすめのディストーション3:ProCo RAT2|鋭さと太さを兼ね備えた万能ディストーション
歪みタイプ:ディストーション
RAT2は、オルタナ・グランジ・パンクの定番として世界中のギタリストに愛されてきた名機です。
鋭くファットな歪みが特徴で、低ゲインではオーバードライブ的に、高ゲインではファズライクな暴れ方までこなす柔軟性があります。この「オーバードライブとファズの橋渡し」をする性格から、最も versatile なディストーションと評されることも多い1台です。
特に注目なのが「Filter」ノブ。一般的なトーンとは逆方向に効くローパスフィルター形式で、音のザラつきや輪郭を細かく調整可能です。
1台で幅広いジャンルをカバーしたい方に、RAT2は間違いなく選択肢に入ります。
DS-1から次の歪みが欲しくなって購入したのがRAT2。粒が荒くラフなサウンドが好みで、Filterノブで音色がガラッと変わるのが面白かった。RATサウンドにどっぷりハマってTurbo RATなども試しましたが、今はWeedのモディファイ版に落ち着いています。標準のRAT2より中域の厚みが増して、よりオルタナらしい粘りが出る。「RATを買えば間違いない」というのは本当だと思います。


→ RATの使用アーティストまとめはこちら
→ ProCo RAT 完全ガイド(音作り・代替モデルも解説)
使用アーティスト
- カート・コバーン(Nirvana)|アルバム『Nevermind』のレコーディングで使用
- ジョニー・グリーンウッド(Radiohead)
- アレックス・ターナー(Arctic Monkeys)|初期ライブでRAT2を2台使用
- ジェームズ・ヘットフィールド(Metallica)
よく使われるジャンル
- オルタナティブロック
- グランジ
- パンクロック
- ハードロック
- インディーロック
- ガレージロック
おすすめのディストーション4:ProCo Turbo RAT|RATをさらに獰猛にした高ゲイン版
歪みタイプ:ディストーション
Turbo RATは、標準のRATよりも歪み量を大きく引き上げた、ハイゲイン志向のRATファミリーです。
クリッピングにLEDを使用することで、標準RATよりも音量・歪み・アタックがより強烈に。荒々しく前に出るサウンドは、ハードロックやメタル寄りのプレイヤーに好まれます。
「RATのキャラクターは好きだが、もっと激しい歪みが欲しい」というニーズに応える1台。標準RAT2との違いを理解した上で選ぶと、満足度が高くなります。
よく使われるジャンル
- ハードロック
- グランジ
- メタル
おすすめのディストーション5:MXR Distortion+|温かみのある王道ロックサウンドを再現
歪みタイプ:ディストーション
Distortion+は、1970年代のクラシックロックシーンを支えたMXRの伝説的ディストーションペダルです。
ゲルマニウムダイオードによる柔らかくオーガニックな、ややファズがかった歪みが特徴で、コードでもソロでも"丸みのある太さ"を演出できます。トーンコントロールを持たないシンプルな2ノブ構成(Output / Distortion)で、扱いやすさも魅力です。
中域を持ち上げる"ミッドハンプ"を持つため、バンドの中でギターが埋もれず前に出るのも特徴。アンプやピッキングにしっかり追従し、表現力にも優れています。
使用アーティスト
- ランディ・ローズ(Ozzy Osbourne)|80年代メタルのギターソロで太さと粘りを演出
- ジェリー・ガルシア(Grateful Dead)
- デイヴ・マーレイ(Iron Maiden)
よく使われるジャンル
- クラシックロック
- ハードロック
- パンク
- オルタナティブロック
おすすめのディストーション6:JHS Angry Charlie V3|JCM800の咆哮をペダルで完全再現
歪みタイプ:ディストーション(アンプ・イン・ア・ボックス)
Angry Charlie V3は、Marshall JCM800のハイゲインサウンドをペダルで忠実に再現する"アンプ・イン・ア・ボックス"です。
歪みの量・音圧・中域の押し出しすべてがバランス良く、バンドアンサンブルの中でもしっかり抜けるサウンドに設計されています。
3バンドEQを搭載しており、ファットにもタイトにも調整できる柔軟性が魅力。単なるハイゲインではなく「使える音」を追求したペダルです。
使用アーティスト
- アンディ・ティモンズ
- クリス・シフレット(Foo Fighters)
よく使われるジャンル
- ハードロック
- オルタナティブロック
- メタル
おすすめのディストーション7:Friedman BE-OD|ブティックハイゲインアンプを足元で
歪みタイプ:ディストーション(アンプ・イン・ア・ボックス)
BE-ODは、名門ブティックアンプメーカーFriedmanの高名なBE-100アンプを基にした、アンプ・イン・ア・ボックス系ディストーションです。
BE-100のタイトで密度の高いハイゲインサウンドを、コンパクトな筐体で再現。ローエンドの締まりと、刻んだリフでも崩れない解像度の高さが持ち味です。
モダンハイゲインを求めるロック/メタルプレイヤーにとって、本格的なアンプサウンドへの近道となる1台です。
よく使われるジャンル
- モダンハードロック
- メタル
- ハイゲインロック全般
おすすめのディストーション8:Marshall Guv'nor|マーシャルアンプの歪みをそのままペダルに
歪みタイプ:ディストーション
Guv'norは、マーシャル社自身が手がけた、マーシャルアンプの歪みキャラクターを持つディストーションです。
3バンドEQを備え、クラシックなブリティッシュロックの歪みから、ハイゲインなリードトーンまで幅広くカバー。マーシャルアンプを使えない環境でも、あの英国的な歪みの質感を得られます。
ゲイリー・ムーアが使用したことでも知られ、太く粘るリードサウンドを求めるプレイヤーに支持されています。
使用アーティスト
- ゲイリー・ムーア|太く歌うリードトーンに使用
よく使われるジャンル
- ブリティッシュロック
- ハードロック
- ブルースロック
おすすめのディストーション9:Mesa/Boogie Throttle Box|メサの"爆音系ハイゲイン"を足元で
歪みタイプ:ディストーション
Throttle Boxは、Mesa/Boogieのパワフルなハイゲインサウンドを、どんなアンプでも再現できる専用ペダルです。
ゲインレンジの調整スイッチにより、クラシックハードロックからモダンメタルまで幅広くカバー。Mesaらしい低域の厚みと攻撃的な質感が、足元のコンパクトな筐体から得られます。
→ ヘヴィメタルで実際に使用されたエフェクター20選はこちら
よく使われるジャンル
- ヘヴィメタル
- スラッシュメタル
- ハードロック
おすすめのディストーション10:BOSS HM-2W|"スウェディッシュ・デスメタル"の代名詞
歪みタイプ:ディストーション(ハイゲイン)
HM-2Wは、スウェディッシュ・デスメタルのギターサウンドを決定づけた、唯一無二のハイゲインディストーションです。
オリジナルHM-2を技 Waza Craftで復刻したモデルで、のこぎりのようにザラついた独特の"チェーンソー"サウンドが最大の特徴。EQをすべて全開にする、いわゆる「フルノブ」セッティングが定番の使い方として知られています。
デスメタルだけでなく、その極端なキャラクターを個性として取り入れるオルタナ系ギタリストにも愛用されてきました。
使用アーティスト
- ジョニー・マー(The Smiths)
- デヴィッド・ギルモア(Pink Floyd)
よく使われるジャンル
- デスメタル
- ハードコア
- オルタナティブロック
おすすめのディストーション11:MXR M116 Fullbore Distortion|ノイズゲート内蔵のメタル特化型
歪みタイプ:ディストーション(メタル特化)
M116 Fullboreは、メタルプレイヤーに必要な機能を1台に凝縮した、高機能ハイゲインディストーションです。
3バンドEQに加え、中域を一気にカットする「Scoop」スイッチと、音と音の間のノイズを抑える内蔵ノイズゲートを搭載。メタルに欠かせない要素を、別途ペダルを足さずに完結できます。
ハイゲイン環境ではノイズ処理が音のタイトさを左右します。1台でメタルの音作りを完結させたいプレイヤーにとって、実戦的な選択肢です。
よく使われるジャンル
- ヘヴィメタル
- モダンメタル
- スラッシュメタル
おすすめのディストーション12:TC Electronic Dark Matter|コスパに優れた実力派
歪みタイプ:ディストーション
Dark Matterは、手頃な価格ながら、本格的なディストーションサウンドが得られるコストパフォーマンスモデルです。
2バンドEQと、歪みのキャラクターを切り替える「Voice」スイッチを搭載。クラシックなクランチから、現代的なハイゲインまで1台で対応します。
「最初の本格ディストーション」として、あるいはサブのペダルとして、低予算でも妥協したくないプレイヤーに向く1台です。
よく使われるジャンル
- ロック
- ハードロック
- オルタナティブロック
おすすめのディストーション13:Suhr Riot|チューブアンプ的な質感を持つハイゲイン
歪みタイプ:ディストーション
Riotは、真空管アンプのような自然な質感と弾き心地を備えた、ハイクオリティなハイゲインディストーションです。
ハイゲインながら音が潰れすぎず、コードの分離感とピッキングへの追従性が高いのが特徴。3つのクリッピングモードを備え、音の硬さや飽和感を切り替えられます。
「ハイゲインだが弾いていて気持ちいい」という、相反しがちな要素を両立した1台。ロックからメタルまで、質感にこだわるプレイヤーに支持されています。
よく使われるジャンル
- ハードロック
- モダンロック
- メタル
おすすめのディストーション14:Big Muff Pi|ファズとディストーションの境界に立つ轟音の象徴
歪みタイプ:ファズ/ディストーション
Big Muff Piは、1969年の登場以来、ロック史に名を刻んできた歪みペダルの代表格です。
ファズに分類されることが多いペダルですが、ディストーションとしても十分機能するのがBig Muffの懐の深さ。厚く滑らかに伸びるサステインと、空間を埋め尽くす轟音が最大の魅力で、ディストーション的な「壁」を作りたいときにも有力な選択肢になります。
ヴィンテージ系ロックだけでなく、シューゲイザーやオルタナなど、現代でも最前線で使われ続ける"永遠のクラシック"です。
歪みを抜きにしても一番好きなエフェクターかもしれない。それくらい深いペダル。友人から安く譲り受けたBig Muff Piを最初に手にしたんですが、デカくてエフェクターボードを圧迫するのに、この筐体のMuffが一番いい音を出してくれる気がして手放せなかった。いろいろ試した結果、今はRams Headに落ち着いています。入れ替えが多いボードの中でも、Rams Headはいつも中核を担っています。


→ Big Muff使用アーティストまとめはこちら
→ Big Muff Pi 完全ガイド
→ ファズエフェクターおすすめ20選はこちら
使用アーティスト
- デヴィッド・ギルモア(Pink Floyd)
- ジャック・ホワイト(The White Stripes)
- ビリー・コーガン(The Smashing Pumpkins)
- ジェイ・マスシス(Dinosaur Jr.)
よく使われるジャンル
- サイケデリックロック
- オルタナティブロック
- シューゲイザー
- ハードロック
おすすめのディストーション15:BOSS MT-2 Metal Zone|極限のハイゲインと3バンドEQ
歪みタイプ:ディストーション(ハイゲイン)
MT-2 Metal Zoneは、BOSSのロングセラーとして、極端なハイゲインと強力なEQを備えたメタル定番ディストーションです。
中域に2つのつまみを持つ3バンドEQが非常に強力で、音の輪郭を細部まで作り込めるのが最大の特徴。深い飽和感と相まって、メタルの分厚いリフからリードまで対応します。
キャラクターが強いペダルのため好みは分かれますが、EQを丁寧に追い込めば化ける1台。長年メタルプレイヤーの入り口であり続けてきた理由がここにあります。
よく使われるジャンル
- ヘヴィメタル
- ハードロック
- モダンメタル
おすすめのディストーション16:Wampler Dracarys|タイトで現代的なハイゲイン
歪みタイプ:ディストーション(モダンハイゲイン)
Dracarysは、モダンメタルやジェントを見据えて設計された、タイトで密度の高いハイゲインディストーションです。
ローエンドが膨らまず、速いリフを刻んでも輪郭が崩れない解像度の高さが特徴。3バンドEQに加え、歪みの質感を変えるトグルスイッチを備え、現代的なメタルサウンドを細かく追い込めます。
Friedman BE-ODと並ぶモダンハイゲイン枠として、より攻撃的でメタル寄りのサウンドを求めるプレイヤーに向く1台です。
よく使われるジャンル
- モダンメタル
- ジェント
- プログレッシブメタル
おすすめのディストーション17:Walrus Audio Iron Horse|RATの血統を持つ3モードディストーション
歪みタイプ:ディストーション
Iron Horseは、ProCo RAT系の系譜を受け継ぎつつ、現代的に再構築されたディストーションです。
最大の特徴は3ウェイのクリッピングモード切替。シリコン、LED、オープン(クリッピングなし)を選べ、荒く締まった音から音量とダイナミクスを稼ぐ音まで、1台で大きく振れます。
RAT系の太く粗い質感が好きで、もう少し選択肢の幅が欲しいというプレイヤーにとって、有力な候補になる1台です。
よく使われるジャンル
- オルタナティブロック
- ハードロック
- インディーロック
おすすめのディストーション18:BOSS MD-2 Mega Distortion|低域を増強する極限ハイゲイン
歪みタイプ:ディストーション(ハイゲイン)
MD-2は、BOSSのコンパクトシリーズの中でも特に深い飽和感を持つ、ハイゲイン特化のディストーションです。
DS-1・MT-2と並ぶBOSSのメタル系ラインのひとつで、低域を増強する「Bottom」コントロールを備えるのが個性。ダウンチューニングでも痩せない、分厚いリフサウンドを作れます。
強烈なゲインと低域の押し出しで、モダンな重低音メタルを足元で完結させたいプレイヤーに向きます。
よく使われるジャンル
- ヘヴィメタル
- モダンメタル
- ハードコア
おすすめのディストーション19:ZVEX Box of Rock|マーシャル系の歪みとブーストを1台に
歪みタイプ:ディストーション+ブースト(アンプ・イン・ア・ボックス)
Box of Rockは、Marshall JTM45系の歪みを再現したディストーションに、独立したブースト回路を組み合わせたブティックペダルです。
クラシックなブリティッシュロックの歪みを核に、ブーストを踏み足すことでソロ向けの音量と太さを稼げる2段構えの設計。リズムとリードを1台で切り替えられます。
Marshall Guv'norとは異なるアプローチのブリティッシュ系として、ヴィンテージ寄りの質感とブティックならではの作り込みを求めるプレイヤーに支持されています。
よく使われるジャンル
- クラシックロック
- ブリティッシュロック
- ハードロック
おすすめのディストーション20:Revv G3|モダンメタルで定番化したハイゲインペダル
歪みタイプ:ディストーション(モダンハイゲイン)
G3は、Revvアンプの人気チャンネルをペダル化した、近年モダンメタルシーンで定番化したハイゲインディストーションです。
アグレッシブで密度の高い歪みと、刻みの解像度の高さが持ち味。3バンドEQとアグレッション切替を備え、現代的なメタルサウンドを的確に作り込めます。
プロのレコーディングやライブでの使用例も多く、「いま現場で使われているモダンハイゲイン」を1台で押さえたいプレイヤーにとって信頼できる選択肢です。
よく使われるジャンル
- モダンメタル
- ジェント
- プログレッシブメタル
ディストーションの音を決める技術|ダイオード・クリッピング・オペアンプ
ここまで紹介した20台は、なぜそれぞれ違う音がするのか。その理由は回路に使われている部品にあります。製品選びの精度を上げるために、音を左右する3つの要素を解説します。
クリッピング方式|ハードとソフトの違い
歪みは、信号が回路の処理能力を超えたときに波形が「クリップ(頭打ち)」されることで生まれます。ディストーションは波形を強く四角く整える「ハードクリッピング」を用い、攻撃的で飽和感の強い音を作ります。一方オーバードライブは波形をなだらかに整える「ソフトクリッピング」で、真空管アンプのような軽い歪みになります。この方式の違いが、ディストーションとオーバードライブを分ける根本です。
ダイオード|ゲルマニウムとシリコン
クリッピングを実際に行う部品が「ダイオード」で、素材によって音が大きく変わります。
| ダイオード | 特徴 | 採用ペダル例 |
|---|---|---|
| ゲルマニウム | 順方向電圧が低く、柔らかく滑らかな飽和。コンプ感があり"ヴィンテージ"な質感 | MXR Distortion+ |
| シリコン | 順方向電圧が高く、シャープで攻撃的なクリッピング | ProCo RAT・BOSS DS-1 |
DS-1やRATの硬質で切れ味のある音はシリコンダイオード、MXR Distortion+の丸くファズがかった音はゲルマニウムダイオードによるもの、と理解すると製品ごとのキャラクターが腑に落ちます。
オペアンプ|回路の心臓部
信号を増幅するオペアンプも音色を左右します。たとえば初期MXR Distortion+に使われたLM741は反応がやや遅い部品で、高域で出力が伸びきらないことが、結果的にあの"マイルドでファズっぽい"暖かさを生んでいます。ProCo RATの"ホーリーグレイル"と呼ばれるヴィンテージトーンも、LM308というチップが核になっています。回路の部品ひとつで音が変わるのが、ディストーションの奥深さです。
ミッドハンプ|バンドの中で抜ける理由
TS系やMXR Distortion+などは、720Hz〜1.5kHz付近を持ち上げる「ミッドハンプ」を持っています。これは戦略的なEQ設計で、ベースやドラムが占める低域・高域を避けた中域にギターを置くことで、バンドアンサンブルの中でギターが埋もれず前に出るという効果があります。
予算別おすすめディストーション|価格帯で選ぶ完全ガイド
「予算はどれくらい用意すればいい?」という疑問に答えるため、価格帯別のおすすめモデルと選び方の目安をまとめました。
| 予算 | おすすめモデル | こんな人に |
|---|---|---|
| 〜7,000円 | BOSS DS-1 / TC Electronic Dark Matter | 初めてのディストーション。とにかく試してみたい初心者に |
| 7,000〜15,000円 | ProCo RAT2 / MXR Distortion+ / BOSS MT-2 / BOSS MD-2 | 定番名機を手に入れたい。本格的に音作りを始めたい人に |
| 15,000〜25,000円 | BOSS DS-1W / ProCo Turbo RAT / Marshall Guv'nor / Walrus Audio Iron Horse | 定番からのステップアップ。音に厚みと選択肢が欲しい中級者に |
| 25,000円〜 | JHS Angry Charlie V3 / Friedman BE-OD / Suhr Riot / Wampler Dracarys / Revv G3 / ZVEX Box of Rock | プロクオリティを求めるギタリスト。アンプ的な質感を追求したい上級者に |
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ジャンル別セッティング例|DS-1・RAT2の音作り
「買ったはいいけど、どこからノブを回せばいいかわからない」という方のために、筆者が実際に使っているジャンル別のセッティング目安を紹介します。
BOSS DS-1 のセッティング例
| ジャンル | DIST | TONE | LEVEL | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| グランジ・パンク | 13〜15時 | 11〜12時 | 12時 | サビで踏む用。ゲインを上げめにするとバッと広がる感覚が出る(筆者体験) |
| オルタナ・インディー | 10〜12時 | 10〜11時 | 12時 | ゲイン控えめでToneを下げるとエッジが丸くなりオルタナらしいザラつきに |
| ハードロック | 14〜16時 | 13〜14時 | 12時 | Toneを上げてエッジを際立たせると単音リフが前に出る |
ProCo RAT2 のセッティング例
| ジャンル | DISTORTION | FILTER | VOLUME | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| オルタナ・グランジ | 9〜11時 | 2〜3時 | 12時 | ゲインを上げすぎずFilterを少し開けるとジャキジャキした芯が出る |
| ハードロック | 13〜15時 | 12〜14時 | 12時 | ゲイン多めでFilterを開放気味にすると輪郭のあるパワフルなサウンドに |
| リードソロ | 14〜16時 | 10〜12時 | 1〜2時 | Volumeを上げてブースト気味に。Filterを絞ると太く歌うトーンに |
音作りのコツ:上記の数値はあくまで目安です。アンプの種類・ギターのピックアップ・部屋の環境によって最適なセッティングは変わります。まずこの数値を起点にして、耳で判断しながら少しずつ動かしてみるのがおすすめです。
迷ったらコレ!用途別おすすめディストーション3選
ここまで20台のディストーションを紹介してきましたが、「正直どれが自分に合ってるのかわからない…」という方も多いはず。
そんな方のために、扱いやすさ・完成度・汎用性を踏まえて、用途別に「まず試してほしい1台」を厳選しました。
| 用途 | 迷ったらコレ! | 理由 |
|---|---|---|
| 初めての1台 | BOSS DS-1 | 低価格・高耐久・直感的。筆者が人生で最初に買った定番ディストーション。 |
| 万能型 | ProCo RAT2 | オルタナ〜グランジ〜ハードロックまで1台でカバー。筆者も長年愛用中。 |
| ハイゲイン | JHS Angry Charlie V3 | JCM800系のバランス良いハイゲイン。バンドで抜ける「使える音」。 |
この3台は、「初めてのディストーション」にも「エフェクトボードの軸」にもなる鉄板モデルです。迷ったら、ぜひこの中から選んでみてください。
ディストーションエフェクターに関するよくある質問(FAQ)
まとめ|ディストーションは"あなたの音"を決める最重要パーツ
ディストーションは、ジャンル・演奏スタイル・機材環境によって「ベストな1台」が変わる、とても奥深いアイテムです。
今回紹介した20台は、どれもプロアーティストも使用している実力派ばかり。筆者自身も、DS-1やRAT2をはじめ多くを実際に所有・使用してきました。
この記事のまとめ
- ディストーションは「ハードクリッピング」で強く歪ませる歪みタイプ
- 初めての1台はBOSS DS-1が安心。万能型ならProCo RAT2
- ハイゲイン・メタル系ならJHS Angry Charlie V3・BOSS MT-2・HM-2W
- モダンなアンプ系の質感ならFriedman BE-OD・Suhr Riot
- 音の違いはダイオード(ゲルマニウム/シリコン)やクリッピング方式で決まる
この中から気になるモデルがあれば、ぜひ実際に試してみてください。あなたの音楽が変わる1台に出会えるかもしれません。
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