エフェクター特化ブログ『ヤツのエフェクター』へようこそ。
この記事でわかること
- Big Muff Piの歴史と各バージョンの違い
- サウンドの特徴と用途別セッティング例
- Big Muffを使用する代表的なギタリスト
- Nano・Ram's Head等の後継モデル比較
- 購入先と現在の価格帯
Electro-Harmonix Big Muff Piとは?──歴史と基本スペック
開発の背景・歴史
Big Muff Pi(ビッグマフパイ)は1969年に設計されたファズペダルです。
手がけたのはElectro-Harmonix創業者のマイク・マシューズ。
ベル研究所出身のエンジニア、ボブ・マイヤーとの共同設計でした。ニューヨークのManny's Music Storeで販売が始まりました。
最初期の購入者にジミ・ヘンドリックスがいたことでも知られています。
ヘンドリックスが実際に使用したエフェクター全体は、こちらの記事で解説しています。
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初期型は「トライアングル」と呼ばれる三角配置のノブレイアウトが特徴。1973年にはRam's Head(ラムズヘッド)と呼ばれるV2へ移行します。
デヴィッド・ギルモアが愛用したことで一躍有名になりました。その後はV3(1977〜)へ。
ロシア製のSovtek期(1992〜)を経ます。
2000年にNYCリイシューとして復活しました。現在も生産が続くロングセラーです。
1984年にElectro-Harmonixが一度倒産し、生産が途絶えた時期があります。
その間もヴィンテージ市場では高騰し続けました。90年代オルタナ・グランジの隆盛とともに再評価されました。
カート・コバーンやビリー・コーガンが使用し、さらに伝説的な地位を確立しています。
基本スペック・コントロール
Big Muff Pi スペック
- メーカー:Electro-Harmonix
- カテゴリ:ファズ / ディストーション / サステイナー
- コントロール:Volume・Tone・Sustain
- 回路構成:4段カスケード共通エミッタ増幅+パッシブトーンコントロール
- バイパス方式:バッファードバイパス(現行モデル)
- 電源:9V電池 または 9VDCセンターマイナスアダプター(100mA)
- サイズ:約139 × 73 × 173mm
- 発売年:1969年(現行リイシュー:2000年〜)
回路は4ブロック構成です。
入力ブースターと2段のクリッピングステージ。
パッシブトーンコントロールと出力ブースターが続きます。ダイオードによるソフトクリッピングを2段重ねることで、あの分厚いサステインと飽和感を実現しています。
Toneノブを12時付近にしてみてください。
ローパスとハイパスフィルターが交差します。
1kHz付近のミッドがカットされる「ミッドスクープ」が発生します。これがBig Muff特有の「ドンシャリ」感の正体です。
注意
現行Big Muff Piはバッファードバイパスです。トゥルーバイパスではないため、OFFにしてもバッファーが信号経路に入ります。気になる方はバイパス方式を確認してから購入してください。
Big Muff Piのサウンドの特徴と音作り
サウンドキャラクターの解説
Big Muff Piのサウンドを一言で表すなら「壁」です。Sustainを上げた瞬間、ギターの音が空間を埋め尽くすような分厚い歪みに変わります。オーバードライブやディストーションとは根本的に異なります。
飽和した倍音とロングサステインが最大の魅力です。
筆者の実体験
筆者が所有するRam's Head Big Muffを初めてアンプに繋いだときです。
パワーコードを弾いた瞬間、「これが壁サウンドか」と実感しました。音量以上に空間を支配する感覚は、他の歪みペダルではなかなか味わえません。オルタナ好きにはもってこいの一台です。
単音のリードでは、バイオリンのようにどこまでも伸びるサステインが手に入ります。一方でコード弾きでは低音が潰れやすく、シンプルなパワーコードやオクターブ奏法との相性が抜群。フルコードを弾くとやや音が団子になる傾向があるため、4ピース以下のシンプルな編成で真価を発揮します。
ギターのボリュームを絞るとクリーンに近づくレスポンスもあります。
手元の操作で歪みの深さをコントロールできます。ただしハイゲイン時にはノイズが増えます。
ピックアップやケーブルのノイズ対策はしっかりしておくのがおすすめです。
おすすめセッティング例(用途別に3パターン)
①オルタナ・グランジの轟音リフ
- Sustain:2〜3時
- Tone:12時〜1時
- Volume:アンプのクリーン音量に合わせて調整
Sustainを上げ切らず、2〜3時あたりに留めるのがポイント。Toneは中央付近でミッドスクープを活かし、バンドの中でギターが「壁」のように鳴るセッティングです。ダウンチューニングとの相性も良好。
②ギルモア風リードトーン
- Sustain:3時
- Tone:1〜2時(やや高め)
- Volume:やや大きめにセット
Toneを高めに設定します。
Sustainをしっかり効かせると、滑らかに伸びるリードトーンが得られます。ネック側ピックアップとの組み合わせで、ヴァイオリン的なサステインが気持ちいいセッティング。ディレイやリバーブとの併用が定番です。
③シューゲイザー・音の壁
- Sustain:フルアップ
- Tone:9〜10時(低め)
- Volume:任意
Sustainを全開にします。
Toneを低めに絞ると、低域が暴れる分厚いサウンドが作れます。ここにディレイやリバーブを深めにかければ、あのシューゲイザー的な「音の壁」が完成します。フィードバック(ハウリング)も意図的に活用できるセッティングです。
Big Muff Piを使用しているギタリスト・アーティスト
デヴィッド・ギルモア(Pink Floyd)
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デヴィッド・ギルモア × Big Muff
ギルモアはRam's Head期(V2)のBig Muffを愛用しました。
Pink Floydの叙情的なサウンドを構築した一台です。「Animals」「The Wall」以降の制作で中心的に使用しています。
特にライブでのリードトーンはBig Muffの代名詞とも言える存在です。Ram's Headの滑らかなサステイン。
ギルモアの繊細なビブラート。
これが組み合わさったトーンはロック史でも屈指の美しさです。
ペダルボード写真やギターテックの証言が残っています。
長年にわたりBig Muffを使い続けていることが確認できます。
ギルモアの使用エフェクターは、時代別にこちらでまとめています。
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カート・コバーン(Nirvana)
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カート・コバーン × Big Muff
グランジの象徴であるカート・コバーンもBig Muffの使用者として広く知られています。彼のペダルボードにはSmall CloneコーラスやDS-1が並びます。
そこにBig Muffも確認されています。
荒々しいリフとエモーショナルなダイナミクスの源泉となっていました。
コバーンの機材は時期によって変遷が大きいのが特徴です。
Big Muffの特定楽曲での使用を断定するのは難しい部分もあります。
ただしライブやスタジオで繰り返し使用されていたことは複数の機材リストから確認できます。
ビリー・コーガン(Smashing Pumpkins)
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ビリー・コーガン × Big Muff
スマッシング・パンプキンズのビリー・コーガン。
Op-Amp Big Muff(V4)の使用で有名なギタリストです。1990年代のオルタナティブロックを代表する分厚いレイヤードギターサウンドの中核を担っていました。「Siamese Dream」アルバムの制作でBig Muffを多用しました。
プロデューサーのブッチ・ヴィグらの証言でも知られています。
J・マスキス(Dinosaur Jr.)
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J・マスキス × Big Muff
Dinosaur Jr.のJ・マスキス。
Ram's Head Big Muffの最も有名な使用者の一人です。インタビューで「Muffは常にオン。すべての歪みはMuffから始まる」と語るほど、彼のサウンドの根幹を成しています。EHXからJ Mascisシグネチャーモデルも発売されています。
轟音の中に透明感を宿す独自のトーンを再現できます。
ジャック・ホワイト(The White Stripes)
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ジャック・ホワイト × Big Muff
ジャック・ホワイトは、Big Muffを含むファズ系ペダルを多用するギタリストです。ガレージロックにファズの荒々しさを持ち込みました。
2人だけの編成でもアンサンブルを成立させるサウンドを構築しています。Big Muffのほか、Fuzz Factoryなども併用しているとされます。
ライブごとにペダルボードの構成を変えることでも知られています。
ジョン・フルシアンテ(Red Hot Chili Peppers)
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ジョン・フルシアンテ × Big Muff
レッチリのジョン・フルシアンテも使い手です。
Russian Big Muff(ロシアンマフ)の使用が確認されています。2000年の「Californication」ツアー時の写真があります。
ペダルボードに組み込まれていたことが判明しています。DS-2やWH-4など他の歪みペダルとも使い分けています。
楽曲ごとに異なるトーンを構築する器用なプレイヤーです。
▶ジョン・フルシアンテのエフェクター完全ガイド|Red Hot Chili Peppersの音作りを再現しよう
▶ Big Muffを愛用するギタリスト10選【さらに詳しい記事はこちら】
Triangle・Ram's Head・Op-Amp・Russianなど、型ごとの違いと使用アーティストは、こちらにまとめています。
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Big Muffの種類と違い|Ram's Head・Op-Amp・Russianを比較
エフェクター特化ブログ『ヤツのエフェクター』へようこそ。 「Big Muff(ビッグマフ)って、種類が多すぎて違いが分からない…」 Triangle、Ram's Head(ラムズヘッド)、Op-Amp ...
Big Muff Piの後継機・代替モデル比較
現行モデル・リイシューとの違い
Electro-Harmonixからはリイシューが多数発売されています。
時代ごとのBig Muffサウンドを再現したNanoサイズです。それぞれ回路が異なるため、狙いたいサウンドに合わせて選ぶのがポイントです。
| モデル名 | 価格帯(税込) | 特徴 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| Big Muff Pi(現行) | 約13,800〜14,850円 | V3ベースの万能型。あの巨大筐体も魅力 | ★★★★★ |
| Nano Big Muff Pi | 約12,300円 | 現行サウンドをナノサイズに凝縮 | ★★★★☆ |
| Ram's Head Big Muff Pi | 約13,000〜15,000円 | 1973年V2の再現。ミドル強め・滑らかなサステイン | ★★★★★ |
| Triangle Big Muff Pi | 約14,000〜15,000円 | 1969年V1の再現。素朴で温かみのあるトーン | ★★★★☆ |
| Op-Amp Big Muff Pi | 約14,000〜15,000円 | V4のオペアンプ回路。密度の高いザクザクした歪み | ★★★★☆ |
| Green Russian Big Muff | 約14,000〜15,000円 | 90年代ロシア期の再現。中低域が豊かでベースにも人気 | ★★★★☆ |
| J Mascis Ram's Head Big Muff Pi | 約22,000〜25,000円 | J・マスキスのシグネチャー。轟音と透明感の両立 | ★★★★★ |
筆者の実体験
筆者はRam's Head Big Muffを所有しています。
現行のフルサイズBig Muffの筐体はかなりデカいです。
ボード面積を圧迫するので、気になる方はNanoシリーズが無難です。
それでもフルサイズの方がほんの少し毛羽立ったファズ感が強めです。
「ルックスも含めてBig Muff」と割り切れるならフルサイズが正解です。
他メーカーのクローン・類似ペダル
Big Muffはオープンな回路設計もあり、数え切れないほどのクローンが存在します。代表的なものをいくつか紹介します。
JHS Muffuletta:歴代Big Muffのサウンド6種をロータリースイッチで切り替え可能。1台でBig Muffの歴史を総ざらいできるペダルです。
Wren and Cuff Tall Font Russian:ブティックペダル。
ロシアンマフの中でも人気の「トールフォント」期を忠実に再現。中低域の太さに定評があります。
Blackout Effectors Musket Fuzz:トーンスタックをカスタム。
ミッドコントロールを追加したモデル。バンドアンサンブルで埋もれにくいファズサウンドが得られます。
Big Muff Piの入手方法と価格帯
現行のBig Muff Piは国内正規輸入品が流通しています。
サウンドハウスやAmazon、楽天市場などで購入可能です。新品の実勢価格は以下の通りです。
Big Muff Pi 価格帯(参考・時期により変動)
- Big Muff Pi(フルサイズ):約13,800〜14,850円
- Nano Big Muff Pi:約12,300円
- Ram's Head Big Muff Pi:約13,000〜15,000円
- J Mascis Ram's Head Big Muff Pi:約22,000〜25,000円
ヴィンテージの個体は中古市場で高値がつきます。
トライアングル期やラムズヘッド期は10万円以上になることも珍しくありません。ただし現行リイシューの品質は非常に高いです。
実用面ではリイシューで十分にあの「Big Muffサウンド」が手に入ります。
サウンドハウスは正規輸入代理店として3年保証つきで販売しており、国内最安値圏であることが多いです。初めてのファズとしてBig Muffを検討している方へ。
まずサウンドハウスの価格をチェックしてみてください。
筆者のBig Muff Pi体験談
筆者の実体験
歪みペダルで一番好きなエフェクターを挙げるなら、Big Muffかもしれません。
ファズのイメージが強い一台です。
ディストーションとしても使え、セッティング次第で幅広い音をカバーします。
オルタナ好きに刺さる「壁サウンド」を作れるペダルで、J・マスキスやカネコアヤノの林さんも愛用者です。

筆者のBig Muff Pi 友人から安く譲り受けた個体。デカくてボードを圧迫するけど、それでもこの筐体のMuffが一番いい音を出してくれる気がする。

筆者のRam's Head Big Muff Pi いろいろ試した結果、やっぱりRam's Headに落ち着いた。入れ替えが多いボードだけど、Ram's Headはいつも中核を担っている。
・Big Muffを愛用するギタリスト10選
・J Mascis Ram's Head Big Muff Pi 徹底解説
・Electro-Harmonix Big Muff Pi 完全ガイド
・Ram's Head Big Muff Pi 徹底解説
まとめ──Big Muff Piはこんな人におすすめ
1969年の誕生以来、50年以上にわたりギタリストを魅了し続けるBig Muff Pi。オルタナやグランジ、シューゲイザーはもちろんです。
ブルースロックからプログレまで、驚くほど幅広いジャンルで活躍してきた名機です。
たった3つのノブで「壁」のような轟音から、バイオリンのように甘く伸びるリードまで作れる。この圧倒的なサウンドの説得力が、Big Muffが愛され続ける最大の理由です。
Big Muff Piはこんな人におすすめ
- オルタナ・グランジの轟音サウンドを手に入れたい人
- ファズペダルの定番を一台持っておきたい人
- ロングサステインを活かしたリードプレイがしたい人
- シューゲイザー的な「音の壁」を構築したい人
- 歴代の名ギタリストと同じペダルを踏みたい人
ボードのスペースが気になる方はNanoシリーズをどうぞ。
ヴィンテージの音色を狙いたい方はRam's Headリイシューも検討してみてください。 エフェクター特化ブログ『ヤツのエフェクター』へようこそ。 ファズは個性的なサウンドと独特の魅力を持ちます。多くのギタリストを虜にしてきた魔性のペダルです。ギター歴13年の筆者の体験と、メーカー仕様・評 ... エフェクター特化ブログ『ヤツのエフェクター』へようこそ。 「Nirvanaのあの荒々しい音、どうやって作るんだろう。」 カートの機材は驚くほどシンプルです。でも「説」と「事実」が入り混じっていて、何が ...
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