BOSS SD-2 Dual OverDriveとは?SD-1との違い・廃盤の理由・隠しモードまで徹底解説
・BOSS SD-2ってどんなペダル?と気になっている方
・SD-1との違いを知りたい方
・廃盤になったBOSSペダルの歴史に興味がある方
・中古で見かけて「買い」かどうか迷っている方
目次
1. BOSS SD-2 Dual OverDriveとは?
BOSS SD-1 Super OverDriveといえば、1981年から40年以上にわたって生産され続けているBOSSの超ロングセラー機。ギタリストなら一度は触ったことがあるであろう定番ペダルです。
しかし、そのSD-1に「後継機種」が存在していたことをご存知でしょうか?
それがBOSS SD-2 Dual OverDriveです。
1993年に「SD-1の後継」として発売されたにもかかわらず、わずか約5年で生産終了。なぜかSD-1よりも先にカタログから消えるという、なんともおちゃめな運命をたどったペダルです。
ただ、音が悪かったわけではありません。むしろ「知る人ぞ知る隠れ名機」として、一部のギタリストからは根強い支持を集めています。
この記事では、SD-2の基本スペックからSD-1との違い、なぜ短命に終わったのかの考察、そして知られざる隠しモードまで徹底的に解説します。
2. SD-2の基本スペックと特徴
| BOSS SD-2 Dual OverDrive ― 基本スペック | |
|---|---|
| 発売 | 1993年4月 |
| 生産終了 | 1998年12月頃 |
| 生産期間 | 約5年間 |
| チャンネル | 2ch独立(Crunch / Lead) |
| クリッピング | LEDクリッピング(両チャンネル共通) |
| コントロール | LEVEL / TONE / DRIVE(各ch独立・2軸ポット×3)+ モード切替スイッチ |
| モード切替 | 3Way:Lead固定 / Crunch固定 / Lead⇔Crunch切替 |
| LED表示 | 2色LED(赤=Lead / 緑=Crunch) |
| REMOTE端子 | あり(FS-5L接続でON/OFFとch切替を同時操作可能) |
| 電源 | 9V電池 / PSAシリーズACアダプター |
| バイパス | バッファードバイパス |
| 生産国 | 日本製(MIJ) |
SD-2の設計上のポイント
SD-2最大の特徴は、CrunchチャンネルとLeadチャンネルの回路が完全に独立していること。単に1つの回路のゲインを切り替えているのではなく、2つの異なるオーバードライブ回路を1台に詰め込んだ構造です。
これはBOSSコンパクトエフェクターの中でも非常にユニークな設計で、「DUAL」の名を冠したBOSSコンパクトはSD-2が唯一です。
1つのツマミに2つの可変抵抗が同軸で搭載されている構造のこと。外側のツマミと内側のツマミで別々のパラメータを調整できます。BOSS MT-2 Metal Zoneで初めて採用された方式で、SD-2では3つの2軸ポットにより、LEVEL・TONE・DRIVEをチャンネルごとに完全独立でセッティングできます。
また、モード切替スイッチは3Wayのロータリースイッチになっており、使用シーンに応じた柔軟な運用が可能です。
- 左ポジション:SD-2は常時ON、ペダルを踏むとCrunch⇔Leadが切り替わる
- 中央ポジション:Leadチャンネル固定
- 右ポジション:Crunchチャンネル固定
さらにREMOTE端子にBOSS FS-5Lなどの外部フットスイッチを接続すれば、本体のペダルでSD-2自体のON/OFF、外部スイッチでチャンネル切替という「3チャンネル運用」(クリーン→Crunch→Lead)が実現できます。
3. SD-1 vs SD-2 ― 何が違う?
SD-2は「SD-1の後継」として開発されましたが、音の方向性はかなり異なります。名前こそ似ていますが、実質的にはまったく別のペダルと考えた方が良いでしょう。
| 比較項目 | SD-1 Super OverDrive | SD-2 Dual OverDrive |
|---|---|---|
| 発売年 | 1981年 | 1993年 |
| 生産状況 | 現行品(40年以上のロングセラー) | 1998年生産終了 |
| チャンネル数 | 1ch | 2ch(Crunch / Lead) |
| クリッピング方式 | ダイオード(非対称) | LED(両ch) |
| コントロール | LEVEL / TONE / DRIVE | LEVEL / TONE / DRIVE(各ch独立) |
| 音の傾向 | 中域寄り、カラッと明るい | マーシャル系、ロー強め |
| 歪み量 | クランチ〜軽めのOD | Crunch:軽め / Lead:ハイゲイン |
| ブースター適性 | ◎(定番の使い方) | △(Lead chは歪みすぎる) |
| REMOTE端子 | なし | あり |
| 新品価格(当時) | 約7,000円前後 | 不明(SD-1より高価だったとされる) |
最大の違い:クリッピング方式
SD-1の音の核となるのは非対称ダイオードクリッピング。これはOD-1から受け継いだ設計で、チューブアンプのナチュラルな歪みを再現する回路です。TS系との違いもここにあり、SD-1特有の「カラッとした中域」を生み出しています。
一方、SD-2は両チャンネルともLEDクリッピングを採用。LEDクリッピングはダイオードクリッピングよりも順方向電圧が高く、よりヘッドルームが広い=ダイナミックレンジが広くなる特性があります。
1988年に発売された初代Marshall The Guv'norにもLEDクリッピングが使われており、Landgraffなどのブティックペダルでは「マーシャルモード」としてLEDクリッピングが採用されることが多いです。SD-2の音がマーシャル系と言われるのは、このクリッピング方式による部分が大きいでしょう。
SD-1=OD-1直系のナチュラルなオーバードライブ。SD-2=LEDクリッピングによるマーシャル系トーン。型番は似ていますが、回路設計のコンセプトは根本的に異なります。
4. SD-2のサウンド特徴 ― Lead vs Crunch
SD-2は2つの独立した回路を持つペダルなので、チャンネルごとに音の評価がかなり異なります。海外フォーラム(The Gear Page、Harmony Central)や国内レビューの声をもとに整理します。
Leadチャンネル(赤LED):隠れた実力派
Leadチャンネルの評価は総じて高いです。
太く、サチュレーションが豊かで、クリーミーなハイゲインサウンドが特徴。ハーモニクスの乗りが良く、コンプ感もほどよいため、ソロプレイで非常に気持ちの良い音が得られます。
「BOSSのOD系ペダルの中で、最高のハイゲイントーン」
「マーシャルをマイクロサイズにしたような音」
「デスクに直接突っ込んでも良い音がした」
― The Gear Page ユーザーの声より
Drunk Beaverというブティックメーカーが、SD-2のLeadチャンネルを元にした「Kyiv Lead」というペダルを発売しているほど。SD-2のLeadチャンネルには、わざわざ別製品として切り出されるだけの魅力があるということでしょう。
Crunchチャンネル(緑LED):賛否が分かれるポイント
一方、Crunchチャンネルの評価は分かれます。
「フラビー(ブヨブヨ)」「ティニー(シャリシャリで薄い)」というネガティブな声がある一方、「ブルージーで味がある」「ストラトで弾くと60年代風の粒感が出る」と評価するユーザーもいます。
単体で軽いオーバードライブとして使う場合、SD-1のようなカラッとした抜けを期待すると物足りなく感じる可能性があります。逆に、他のペダルとスタックさせて使うと「明るくハーシュなキャラ」が活きるという声も。使い方次第で評価が変わるチャンネルと言えます。
SD-1と比べて全体的にどう違う?
SD-2は両チャンネルともSD-1よりローが出ます。SD-1のカラッとした軽快なサウンドとは対照的に、SD-2はどっしりとした重心の低い歪みが特徴です。
DRIVEとTONEを全開にしても破綻しない扱いやすさは美点ですが、「SD-1らしさ」を求めて手に取ると肩透かしを食らうかもしれません。
5. 隠しモード「Yellow Mode」の存在
通常はCrunch(緑)とLead(赤)の2モードですが、実はもう1つ、LEDが黄色に点灯する隠しモードがあります。
やり方は意外と簡単。SD-2のREMOTE端子に他のBOSSコンパクトエフェクターを接続するだけです。
すると、LEDが赤でも緑でもない黄色に点灯し、CrunchチャンネルとLeadチャンネルの音がミックスされたサウンドが出力されます。
2つの回路がブレンドされることで、Crunch単体のシャリシャリ感とLead単体のクリーミーさが程よく混ざり合い、どちらのチャンネルとも違う独特のトーンが得られます。
① モード切替スイッチを一番左(Crunch⇔Lead切替モード)にセット
② REMOTE端子に他のBOSSペダル(またはFS-5Lなど)を接続
③ 接続したペダルのON/OFFでYellow Modeに切り替わる※ すべてのBOSSコンパクトで動作するかは未検証です。手持ちのBOSSペダルで試してみてください。
この隠しモードの存在は、SD-2がただの「2ch切替ペダル」ではなく、実質3種類のサウンドを出せるペダルだったことを意味します。取扱説明書に明記されていなかったこともあり、知らないまま手放したユーザーも多かったのではないでしょうか。
6. なぜSD-2は短命に終わったのか?
機能的にはBOSSコンパクト歪み系の中でも屈指の高機能ペダルだったSD-2。それがなぜ、わずか約5年で生産終了になってしまったのか。いくつかの要因が考えられます。
① 「SD-1の後継」という名前の呪縛
これが最も大きな要因ではないかと言われています。
SD-2を手に取るユーザーの多くは、SD-1の延長線上にある音を期待したはずです。しかし実際には、クリッピング方式も回路構成もまったく異なる、別コンセプトのペダルでした。
SD-1のカラッとした中域重視のサウンドを期待して弾いてみたら、ローが強めのマーシャル系トーンが出てくる。この「期待と現実のギャップ」が、評価の分かれ目になったと考えられます。
② Crunchチャンネルのゲイン設計
Crunchチャンネルのゲインは、SD-1と比較してもかなり低めに設定されています。一方でLeadチャンネルはかなりのハイゲイン。この2つの間にある「普通のオーバードライブ」のゲイン帯域が抜け落ちてしまっている印象があります。
つまり、多くのギタリストが最も欲しい「中程度の歪み」が、SD-2では作りにくかったのです。
③ OS-2との棲み分け問題
BOSSにはOS-2 OverDrive/Distortionという「2つの歪みを1台にまとめた」ペダルが先行して存在していました。OS-2はオーバードライブとディストーションのブレンド比をノブで無段階に調整できるコンセプト。
SD-2が「2つの歪みを切り替える」コンセプトだったのに対し、OS-2は「2つの歪みを混ぜる」コンセプト。方向性は異なりますが、「1台で2つの歪みが使える」という訴求ポイントが被ってしまった面は否めません。
ちなみにOS-2は1990年の発売から現在も現行品として生産され続けており、こちらはロングセラーに成長しています。
④ 90年代のハイゲイン需要との相性
SD-2が生産された1993〜1998年は、グランジ・オルタナブームの真っ只中。ギタリストが求めていたのはBIG MUFFやRATのようなヘヴィな歪みであり、「ちょっと気の利いたオーバードライブ」の需要は相対的に低かった時代でもあります。
この時代背景も、SD-2が広くヒットしなかった一因かもしれません。
7. 中古相場と入手のコツ
SD-2は約5年間しか生産されなかった上に、日本製(MIJ)のみのため、流通量は多くありません。
中古相場の目安(2026年2月現在)
・国内中古市場:5,000円〜15,000円程度(状態による)
・海外(Reverb等):$50〜$150程度
・ハードオフ等のリサイクルショップ:3,000円〜で見つかることも(ジャンク扱いの場合)
※ 箱・説明書付きの美品は価格が上がる傾向にあります。
SD-1やDS-1のような超定番と比べると、中古での出物自体が少ないのが現状。フリマアプリやリサイクルショップで見かけたら、迷わずチェックすることをおすすめします。
・Reverb、メルカリ、ヤフオクで「BOSS SD-2」で定期的に検索をかけておくのが有効
・ハードオフのジャンクコーナーは狙い目。状態が良くても安価で出ていることがある
・プレミア価格がつくほどのレアモデルではないので、見つけたら比較的手頃に入手可能
・SD-2はすべて日本製(MIJ)。台湾製は存在しないので真贋判定の参考に
8. まとめ ― 見つけたらラッキーな隠れ名機
BOSS SD-2 Dual OverDriveは、高機能でユニークなコンセプトを持ちながら、「SD-1の後継」という看板とのミスマッチによって短命に終わった不遇のペダルです。
SD-2まとめ
✅ 完全独立2ch仕様はBOSSコンパクト唯一の「DUAL」設計
✅ Leadチャンネルのクリーミーなハイゲインは「BOSSのOD系最高」との声も
✅ LEDクリッピングによるマーシャル系トーンはSD-1とは別物の魅力
✅ 隠しモード「Yellow Mode」で実質3サウンド
✅ REMOTE端子による3ch運用は当時としては画期的
⚠ Crunchチャンネルは好みが分かれる
⚠ 中古でもあまり見かけない希少なペダル
プレミア価格がつくほど高騰しているわけではないので、リサイクルショップやフリマアプリで見つけたらラッキーです。特にLeadチャンネルの音が好みに合えば、メインの歪みとして十分に使えるポテンシャルを秘めています。
「SD-1は知ってるけどSD-2は知らなかった」という方は、ぜひ一度YouTubeのデモ動画で音を確かめてみてください。BOSSの歴史の中に埋もれた、ちょっとした宝物が見つかるかもしれません。