グランジロックの象徴、Nirvanaのフロントマンとして今も影響力を持つカート・コバーン(Kurt Cobain)。本記事では、彼が愛用したエフェクターを詳細に解説し、Nirvanaサウンドを再現するための機材選びをサポートします。
カートの音作りの核となるのは、ローゲイン〜ミッドゲインのディストーション+ローファイ志向です。
使用ギター(Mustang、Jaguarなど)との相性もあり、ディストーションペダル単体でも芯のある音が出ており、さらに空間系(Small Clone、Poly Chorus)で立体感や浮遊感を加えるのが特徴的です。
カテゴリ | 機材名 | メーカー | 使用時期 / 楽曲例 |
---|---|---|---|
ディストーション | DS-1 | BOSS | 初期ライブ / Bleach, Nevermind |
コーラス | Small Clone | Electro-Harmonix | Come As You Are |
モジュレーション | Poly Chorus | Electro-Harmonix | Heart-Shaped Box / In Utero期 |
アンプシミュレーター | SansAmp Classic | Tech21 | In Uteroツアー / ライブ用 |
DS-1は、カート・コバーンがNirvana初期から使用していたアイコニックなディストーションペダルです。
1980年代から続くBOSSの定番ペダルであり、ローファイかつザラついた歪みが特徴。Marshallなどの高価なアンプを使わずとも、荒々しく存在感のある音を作れるため、コバーンにとって欠かせない存在でした。
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ライブでは歪みをフルにしていたとされますが、レコーディングでは若干控えめに調整していたという証言もあります。
現在もBOSSより新品が販売されています。中古市場でも多く流通しており、予算に応じて選べます。
Small Cloneは、カート・コバーンが「Come As You Are」で使用したことで一躍有名になったアナログ・コーラスペダルです。温かみのある揺れと広がり感が特徴で、Nirvanaの不穏で浮遊するサウンドを象徴する存在です。
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カートはこのエフェクターを「音の輪郭をぼやかすため」に使用していたと言われており、原音を殺さずに揺らぎを加える用途で重宝していました。
Electro-Harmonixから現行モデルが販売されております。
小型タイプのNANO Cloneもオススメです。
Poly Chorusは、カート・コバーンが『In Utero』期に愛用していたアナログ・マルチモジュレーションペダル。コーラス・フランジャー・ダブリングなどの多彩な揺れ効果を1台で生み出せ、特に「Heart-Shaped Box」の独特なトーンに欠かせない存在です。
特に「Filter Matrix」モードは、LFOによる揺れを停止させて金属的なコムフィルター効果を加えるモード。カートはこの独自のモードで、非現実的な倍音感と奥行きあるサウンドを演出していました。
Poly Chorusは長らく生産完了となっており、中古市場でのみ入手可能。復刻版も存在するが、音質に差があるという意見も。
「アンプが壊れても、これさえあれば何とかなる」──カート・コバーンがそう語ったとされるのが、Tech21のSansAmp Classic。真空管アンプのような太さとコンプレッション感を持ちつつ、ライブ現場でも安定して使えるアンプシミュレーターです。
ステージ環境が毎回変わるツアーにおいて、安定したNirvanaトーンを再現する要として重宝されました。カートの機材の中ではやや“テクニカル”な位置づけで、モジュールの切り替えで歪みからクリーンまで多彩に対応。
現在は「SansAmp Classic」は中古市場でしか流通しておらず、価格は20,000円〜35,000円程度。Tech21からは他にも多くのSansAmpシリーズが発売されており、現行品ならGT2やCharacterシリーズが選択肢に。
以下に紹介するエフェクターは、確定的な証拠はないものの、音質やファンの考察、当時のライブ映像などから「使われていたのではないか」とされる有力候補です。カートの音作りの深層に迫るヒントとして、ぜひチェックしてみてください。
巨大な中低域とブーミーな歪みで知られるBig Muff。『Bleach』期の重厚なリフやノイズの質感がDS-1ではなくBig Muffに近いとする声も多く、「初期Nirvanaの荒々しいサウンドはこれで作られたのでは?」という推測があります。証言や写真は存在しませんが、音の傾向から有力視されています。
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カートが使っていたとされるBOSS DS-1の後継的存在。DS-2はターボモードを搭載し、よりレンジの広いアグレッシブなサウンドを提供します。『In Utero』ツアー後期に使われていたという話もありますが、機材写真の混同や誤認の可能性もあるため、あくまで一説とされています。
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Nirvanaの機材に関するディープなファンサイトやSNSでは、「Univox Super-Fuzzのような音がするライブ録音が存在する」という報告もあります。日本製のレアペダルで、重厚かつ独特なファズサウンドが魅力。J・マスシスなど他のオルタナ勢が使っていたこともあり、影響を受けていた可能性も否定できません。
カート・コバーンのサウンドは、決して高価な機材や複雑なセッティングに頼ったものではありません。むしろ、手に入りやすいエフェクターを、自分なりの美学で使い倒した結果生まれたローファイかつエネルギッシュなトーンが、世界中のリスナーを魅了しました。
グランジというジャンルの枠を超え、「心の叫びを、荒削りな音で表現する」という手法は、今の音楽にも通じる普遍的な力を持っています。ぜひ、あなた自身のギターでも、あの“壊れかけた美しさ”を鳴らしてみてください。
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