「U2のあのキラキラした音、ディレイで作っているんですよね?」
そのとおりです。
ただし、ただ「ディレイをかければ似る」わけではありません。
ジ・エッジの音は、ディレイの時間を曲のテンポに合わせて決めるところから始まります。
この記事では、エッジが使ってきたディレイ機材を整理しました。
音の核になる「付点8分」の設定も解説します。
手頃なペダルで近づける方法もまとめています。
この記事でわかること
- エッジが使ってきたディレイ機材と、確認できた時期・根拠
- 「付点8分ディレイ」の仕組みと、BPMからの計算方法
- エッジ風の基本セッティングの目安
- 付点8分を作れる、手に入りやすいペダル3機種
こんな方におすすめ
- U2やポストロックのアルペジオ系サウンドを作りたい方
- ディレイの「時間の決め方」がよくわからない方
- エッジの使用機材を、裏の取れた情報で知りたい方
この記事の方針
エッジの機材は情報が錯綜しています。この記事では、メーカー情報・ギターテック関連の記事・長年の研究サイトのいずれかで確認できた機材だけを扱いました。裏が取れなかった噂は、FAQで正直に書いています。
目次(ジャンプリンク)
- エッジのディレイ機材一覧
- 付点8分ディレイの仕組みと計算方法
- エッジ風セッティングの目安
- Electro-Harmonix Deluxe Memory Man
- Korg SDD-3000とTC Electronic 2290
- 付点8分を作れる手頃なペダル
- よくある質問
エッジのディレイ機材一覧
まずは全体像です。
時期ごとの主役と、確認できた根拠をまとめました。
| 機材 | 主な時期 | 確認できた根拠 |
|---|---|---|
| Electro-Harmonix Deluxe Memory Man | 初期(Boy〜October) | エッジのディレイを長年研究しているTim Darling氏のサイト |
| Korg SDD-3000 | The Unforgettable Fire以降 | 同上。2018年のツアー機材紹介(Premier Guitar)でもラックに確認 |
| TC Electronic 2290 | The Joshua Tree期〜 | Tim Darling氏のサイト |
| Korg SDD-3000 PEDAL | 2014年発売 | エッジのギターテック、ダラス・スクーが開発に協力(Premier Guitar/Korg関連記事) |
2018年のツアーでは、ラックにFractal Audio Axe-Fx II XLが3台入っていたと報じられています。
ただしSDD-3000以降の土台は一貫して、時間を正確に決めたデジタルディレイです。
付点8分ディレイの仕組みと計算方法
エッジの音を作るのは、付点8分(ドッテッド・エイス)のディレイ時間です。
付点8分とは、8分音符1.5個ぶんの長さのことです。
4分音符の長さに対しては、ちょうど3/4になります。
8分音符でアルペジオを弾くと、ディレイの音が弾いた音の「間」に入り込みます。
その結果、1本のギターが2倍の音符を弾いているように聴こえます。
ジ・エッジのキラキラした響きは、付点8分のディレイ音が弾いた音の間を埋めて生まれます。
ディレイ時間の計算式
ディレイ時間(ミリ秒)は、次の式で出せます。
45000 ÷ BPM = 付点8分のディレイ時間(ms)
主なテンポで計算すると、次のようになります。
| BPM | 付点8分のディレイ時間 |
|---|---|
| 90 | 500ms |
| 100 | 450ms |
| 110 | 約409ms |
| 120 | 375ms |
| 126 | 約357ms |
| 130 | 約346ms |
「Where the Streets Have No Name」のテンポは126BPMとされています。
計算すると、約357msです。
研究サイトでも、350ms前後の設定が紹介されています。
曲ごとの設定例も、同じ研究サイトに載っています。
| 曲 | 研究サイトで紹介されているディレイ時間 |
|---|---|
| Where the Streets Have No Name | 約350ms |
| With or Without You | 約410ms |
| Bad | 約467ms |
| Pride | 約418ms |
数字はあくまで目安です。
ライブ演奏では、テンポもディレイ設定も変わります。
まずは自分が弾く曲のBPMから計算して、耳で微調整するのがおすすめです。
公式のミュージックビデオです。
イントロのアルペジオで、ディレイ音が間を埋めている様子を聴き取れます。
エッジ風セッティングの目安
基本のセッティングを、研究サイトや各種の解説をもとにまとめました。
| 項目 | 目安 | ポイント |
|---|---|---|
| ディレイ時間 | 付点8分 | 曲のBPMから計算する |
| フィードバック | 2〜3回ぶん | 増やしすぎると音が濁る |
| ミックス | ディレイ音が3〜4割 | 原音が埋もれない範囲まで |
| モジュレーション | ごく浅く | 揺れは「ほんのり」で十分 |
SDD-3000の設定例として、「フィードバック2回、ミックス6:4(原音:ディレイ)」といった数字が共有されています。
ただし、これは愛好家の再現設定です。
エッジ本人が公表した数値ではありません。
U2公式チャンネルの映像で、代表曲のサウンドを確認できます。
Electro-Harmonix Deluxe Memory Man|初期の音を作ったアナログディレイ
初期のU2、つまりBoyやOctoberの時期にエッジが使っていたのが、このペダルとされています。
研究サイトでは、当時のライブでほぼ一定のディレイ時間で使っていたと紹介されています。
アナログらしい、少し暗くて温かい繰り返し音が特徴です。
現行のDeluxe Memory Man 1100-TTは、タップテンポ機能を搭載しています。
タップした間隔を、付点8分や8分音符などに自動で分割する機能があります。
最大ディレイ時間は1100msです。
Electro-Harmonix Deluxe Memory Man 1100-TTを探す:
Memory Manの詳しい特徴は、こちらで解説しています。
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Electro-Harmonix Deluxe Memory Man|名機と呼ばれるアナログディレイ
Deluxe Memory Man(DMM)は、Electro-Harmonixが誇る伝説的アナログディレイ。 温かみのあるリピート音と、コーラス/ビブラートをブレンドした唯一無二の質感が特徴です。 ...
Korg SDD-3000とTC Electronic 2290|エッジの代名詞になったデジタルディレイ
1984年のThe Unforgettable Fire以降、エッジの音の中心になったのがKorg SDD-3000です。
プロデューサーのダニエル・ラノワは、ギターをSDD-3000からVoxアンプに通しただけのシンプルな構成だったと語っています。
The Joshua Tree期からは、TC Electronic 2290も加わりました。
プリセットが豊富で、より複雑なステレオ構成を組めたためとされています。
どちらも、80年代に作られたラックタイプのデジタルディレイです。
SDD-3000は、エッジとギターテックのダラス・スクーの協力で、2014年にペダルとして復活しました。
復活したのがSDD-3000 PEDALです。
ディレイタイムは最大4000msまで拡張され、プログラムも大幅に増えています。
2018年には数量限定で再販され、そのときの価格は税込30,525円でした。
SDD-3000 PEDALは、現行品として買えるかどうか確認できていません。
流通は中古が中心とみられます。購入の際は、販売店の最新情報をご確認ください。
そのため、この記事では購入リンクを置いていません。
同じ考え方の音は、次の章のペダルでも作れます。
付点8分を作れる手頃なペダル3選
SDD-3000やラックが手に入らなくても、付点8分を作れるペダルはあります。
公式の資料で、付点8分の設定ができると確認できた3機種を選びました。
| ペダル | 方式 | 付点8分の作り方 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| BOSS DD-8 | デジタル | TAP DIVISIONを付点8分に設定してタップ | まず1台で試したい方 |
| EHX Deluxe Memory Man 1100-TT | アナログ | タップ分割モードで付点8分を選ぶ | 温かい繰り返し音が好きな方 |
| Strymon TimeLine | デジタル | Tap Divisionで付点8分を選ぶ | プリセットで曲ごとに切り替えたい方 |
BOSS DD-8|まず1台目に選びやすい定番デジタル
DD-8は、タップで付点8分を作れるデジタルディレイです。
タップ間隔を「どの音符に変換するか」を設定できます。
付点8分に設定すれば、4分音符のテンポで踏むだけです。
EHX Deluxe Memory Man 1100-TT|アナログの温かさと付点8分を両立
1100-TTは、タップテンポ搭載のアナログディレイです。
タップした間隔を、付点8分・8分音符・3連符などに分割できます。
初期のエッジが使ったMemory Manの流れをくむ、現行モデルです。
Strymon TimeLine|プリセットで曲ごとに切り替えたい人向け
TimeLineも、Tap Divisionで付点8分を選べます。
プリセットを保存できるので、曲ごとのテンポに合わせた設定を呼び出せます。
ディレイ全般の選び方は、こちらでまとめています。
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よくある質問
Q1. エッジはStrymon TimeLineを使っていますか?
ネットでは見かけますが、確認できた情報では裏が取れませんでした。
2018年のツアー機材紹介にも、TimeLineは出てきません。
この記事では、使用機材には含めていません。
Q2. エッジのディレイ時間は何msですか?
曲によって違います。
基本は、曲のBPMから出した付点8分です。
「Where the Streets Have No Name」なら約350ms前後、「With or Without You」なら約410msが目安です。
Q3. 初心者が最初に買うなら、どのペダルですか?
BOSS DD-8がおすすめです。
付点8分の設定ができ、普通のディレイとしても使い回せます。
Q4. ディレイ以外で、エッジの音に必要なものは?
アンプも大きな要素です。
2018年のツアーでは、Vox AC30系と、エッジのシグネチャーモデルのFenderアンプが使われていました。
Q5. アナログとデジタルは、どちらが近い音になりますか?
後期の定番であるSDD-3000と2290はデジタルです。
近づけたいなら、デジタルディレイが入口として自然です。
初期のBoy〜October期の暗い質感を狙うなら、アナログのMemory Man系が向いています。
まとめ|エッジの音は「機材」より「時間の決め方」
この記事のまとめ
・エッジの音の核は、付点8分のディレイ時間
・計算式は「45000 ÷ BPM」で、126BPMなら約357ms
・使用機材は、初期のMemory Man、中期以降のSDD-3000とTC 2290が確認できた
・手頃に試すなら、タップ分割ができるDD-8・1100-TT・TimeLine
・「エッジはTimeLineを使っている」という情報は、裏が取れなかった
機材を揃える前に、まず付点8分のタイミングを体で覚えるのが近道です。
手持ちのディレイに、タップテンポかBPM計算の機能があれば、今日から試せます。
ほかのディレイペダルも比較したい方は、前述の比較記事もどうぞ。