「Big Muff(ビッグマフ)って、種類が多すぎて違いが分からない…」
Triangle、Ram's Head(ラムズヘッド)、Op-Amp、Russian。
名前は聞いたことがあっても、何がどう違うのかは分かりにくいですよね。
この記事では、Big Muffの種類を年代順に整理します。
種類ごとに、使用アーティストと今買える再発モデルもまとめました。
結論:Big Muffは、回路と時代で音が変わります。
ギルモアやマスシスの太い壁は、Ram's Head系です。
コーガンの歪みは、Op-Amp系とされます。
ソニック・ユースの重さは、Sovtek製のRussian系と覚えると選びやすくなります。
この記事で分かること
- Big Muffの種類と、年代ごとの違い
- ギルモア・マスシス・コーガンなどが使った型
- 今買える再発モデルと、タイプ別の選び方
※年代や型の呼び名には、資料によって幅があります。メーカー公式やファンサイトで確認できた範囲を書いています。アーティストの使用型は、確度も併記しました。
Big Muff(ビッグマフ)の種類|比較表
| 種類 | 年代の目安 | 音の傾向 | 主な使用者 | 今買える再発 |
|---|---|---|---|---|
| Triangle | 1969〜73年頃 | 輪郭が出やすく荒々しい | ギルモア(2006年ツアー) | Triangle Big Muff Pi(2018年) |
| Ram's Head | 1973〜77年頃 | 中域が深く削れ、太く粘る | ギルモア、マスシス、アーニー・アイズレー | Ram's Head(2019年)、Mascis本人モデル(2022年) |
| Op-Amp | 1970年代後半 | トランジスタ版より中域が前に出る | ビリー・コーガン | Op Amp Big Muff Pi(2017年) |
| Russian(Sovtek) | 1990年代〜 | 低域が強く重い | ソニック・ユース(サーストン・ムーア) | Green Russian Big Muff Pi(2017年) |
| NYC・現行標準 | 2000年〜 | 定番の太いファズ | (型まで特定できた例は確認できず) | Big Muff Pi(現行) |
この記事の目次
Big Muffの種類が分かれる理由
Big Muffは、1969年ごろにElectro-Harmonixが出したファズです。
つまみは、Volume・Sustain・Toneの3つだけです。
それでも種類が多いのは、時代ごとに回路や部品が変わったからです。
とくに70年代の個体は、部品の値がバラバラでした。
Big Muffの歴史を長年まとめているファンサイトの運営者、Kit Rae氏によれば、Ram's Headだけで約20種類の回路があるとされます。
同じ呼び名でも、個体ごとに音が違います。
名前はあくまで目安として見てください。
Big Muff全体の入門は、こちらもどうぞ。
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Triangle|最初期の初代モデル
つまみが三角形に並ぶことから、Triangleと呼ばれます。
1969年から70年代前半までの初期型です。
Triangleの音の特徴
輪郭が出やすく、荒々しいといわれます。
ただし、評価は資料で割れます。
低域が控えめとする資料もあれば、パワフルとする資料もあります。
個体差が大きいため、一言で言い切れないのが実情です。
まずは、Electro-Harmonix公式の再発モデルのデモで音を聴いてみてください。
Triangleを使ったアーティスト
確認できた例は、デヴィッド・ギルモアです。
2006年の『On an Island』ツアーで、Triangleが使われました。
「Echoes」の中盤で使う機材として、ボードに載っていました(Kit Rae氏)。
ただし、スタジオ録音で使ったかは不明とされています。
同じツアーの「Echoes」の映像です(ポーランド・グダニスク公演、ギルモア公式)。
ジミ・ヘンドリックスやカルロス・サンタナは、メーカーの紹介文などで初期の購入者として名前が挙がります。
しかし、どの型を使ったかの裏付けは確認できていません。
ヘンドリックスといえば、ファズの印象はFuzz Faceが強いです。
Fuzz Faceについては、こちらで解説しています。
Dunlop Fuzz Face|ジミ・ヘンドリックスを象徴する伝説のファズ
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今買えるTriangle
Electro-Harmonixが、2018年に再発しました。
1969年ごろの回路を再現しています(Electro-Harmonix公式)。
筐体は、金属を型に流して作る頑丈なダイキャスト製です。
現行品として、公式サイトに掲載されています。
Triangle Big Muff Piはこんな人に
初代Big Muffの荒々しさを試したい人や、Ram's Headより輪郭の出るファズが欲しい人に向きます。
向かない人
「Comfortably Numb」のような、太く粘る音が目的の人です。
その場合は、次のRam's Headが近道です。
Triangle Big Muff Piを探す:
Ram's Head|ギルモアとマスシスが愛した第2世代
ペダルに羊の頭のロゴがあることから、Ram's Headと呼ばれます。
1973年から77年ごろまでの、第2世代です。
なかでも、Violet(バイオレット)と呼ばれる回路は人気です。
Violetはグラフィックの色ではなく、回路の通称です。
Ram's Headの音の特徴
中域が深く削れ、太く粘る音が特徴です。
Triangleよりゲインが控えめで、アタックが柔らかいといわれます。
その代わり、低域の厚みと伸びるサステインが魅力です。
Ram's Headを使ったアーティスト
代表は、デヴィッド・ギルモアです。
ギターテックのフィル・テイラーが、1974年にBig Muffを紹介したと、Kit Rae氏は記しています。
Kit Rae氏は、本格的に使い始めたのは1975〜76年ごろと見ています。
『Animals』のころから、長く主力の歪みでした。
ギルモアの全体像は、こちらにまとめています。
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ギルモアの2016年ポンペイ公演です(Ram's Headを使ったツアーの時期)。
もう1人は、Dinosaur Jr.のJ・マスシスです。
Deluxe Big Muffのあと、1970年代半ばのRam's Headも使うようになったとされます。
マスシス本人の機材は、こちらで詳しく解説しています。
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Dinosaur Jr.の代表曲の公式動画です。轟音ファズの参考にどうぞ。
Isley Brothersのアーニー・アイズレーも、使用者として知られます(Kit Rae氏)。
今買えるRam's Head
2019年に、Electro-Harmonix(EHX)がRam's Headを再発しました。
1973年のV2 Violet Ram's Headを再現しています(Electro-Harmonix公式)。
筐体は、小型のNanoサイズです。
2022年には、J Mascis本人モデルも登場しました。
回路は、2019年の再発と同じVioletをベースにしています。
マスシスが使う実機のレプリカではない点に、注意してください。
本人モデルは、こちらで解説しています。
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Electro-Harmonix公式のRam's Head再発のデモ動画です。
Ram's Head Big Muff Piはこんな人に
Pink Floydのような太く伸びる音や、Dinosaur Jr.の轟音を目指す人に向きます。
向かない人
中域が前に出る、輪郭のあるファズが欲しい人です。
その場合は、次のOp-Ampが合います。
Ram's Head Big Muff Piを探す:
Ram's Head版の詳しい解説は、こちらです。
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Op-Amp|ビリー・コーガンが使った型
トランジスタではなく、オペアンプ(ICと呼ぶ小さな集積回路)を使ったモデルです。
1970年代後半に作られました。
Electro-Harmonix公式によれば、ゲインの段が4つから3つに減っています。
Op-Ampの音の特徴
トランジスタ版に比べて、中域が前に出るといわれます。
ただし、評価は資料や個体で分かれます。
Op-Ampを使ったアーティスト
代表は、Smashing Pumpkinsのビリー・コーガンです。
コーガンは2009年のブログで、『Siamese Dream』に1970年代後半のヴィンテージBig Muffを使ったと語ったとされます。
その型は、オペアンプ版とされています。
Electro-Harmonixの再発ページも、同じ趣旨で紹介しています。
ただし、インタビューなど直接の一次情報は未確認です。
コーガンのボード全体は、こちらにまとめています。
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Smashing Pumpkinsの代表曲の公式動画です。
今買えるOp-Amp
2017年に、EHXがOp Amp Big Muff Piを再発しました。
Toneの回路を切り離せる、Tone Bypassスイッチがつきます(Electro-Harmonix公式)。
コーガン本人がOp Amp Big Muffを試す、Reverb公式の動画です。
Op Amp Big Muff Piはこんな人に
Siamese Dreamのような90年代オルタナの音を求める人に向きます。
向かない人
ヴィンテージ機の、太く丸い低域が欲しい人です。
Op-Amp Big Muffを探す:
90年代のグランジ・オルタナで使われた機材は、こちらで整理しています。
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Russian(Sovtek)|90年代の重い壁
1990年代に、ロシアのSovtekで作られたシリーズです。
Electro-Harmonixがアメリカでの製造を止めていた時期のモデルです。
外観の違いで、Civil WarやGreen Russianなどに分かれます。
Civil Warは、南北戦争風の書体のロゴに由来する呼び名です。
Green Russianは、深緑のミリタリー風の筐体が目印です。
Russianの音の特徴
低域が強く、重いといわれます。
低音を重ねるバンドサウンドで、よく使われました。
Russianを使ったアーティスト
代表は、Sonic Youthです。
サーストン・ムーアは、Sovtek製のBig Muffを約10年使ったと語っています(2020年のオークション出品時の説明)。
ただし、Civil WarかGreen Russianかなど、細かな型は不明です。
リー・ラナルドも、同じSovtek版を好んだとされます。
Sonic Youthの代表曲の公式動画です。
ギルモアも、1994年のツアーでSovtek製Civil Warを主力に使ったとするファンサイトがあります(Gilmourish)。
ただし、アルバムでの使用は記録がありません。
一方で、同じ時期にRam's Headを使ったとする資料もあり、資料で割れています。
Sonic Youthに近い、オルタナ・シューゲイザー系の機材はこちらです。
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今買えるRussian
2017年に、EHXがGreen Russian Big Muff Piを再発しました。
1990年代半ばのGreen Russianを再現した、ミリタリーグリーンの筐体です(Electro-Harmonix公式)。
Reverbによる、Green Russianの音出しデモです。
Green Russian Big Muff Piはこんな人に
重く太い壁のようなファズで、バンド全体を押し出したい人に向きます。
向かない人
ソロでの抜けや、歯切れを重視する人です。
Green Russian Big Muffを探す:
NYC・現行標準|手に入れやすい定番
2000年に、Electro-Harmonixがアメリカでの製造を再開しました。
そのときに出た、NYC Reissueが現行標準の元になっています。
1970年代後半のモデルを、改訂したものとされます。
現行標準の使用者として挙がる例
RHCPのジョン・フルシアンテも、Big Muff Piを使ったことで知られます。
ただし、どの型かは確認できていません。
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ジャック・ホワイトは、『Elephant』期にBig Muff Piを使ったと紹介されます。
ただし、どの世代の型かは、確認できていません。
この記事では、製品名のみ確認できた例として扱います。
ホワイトの機材は、こちらで解説しています。
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今買える標準モデル
まず1台目としては、現行のBig Muff Piが無難です。
入手しやすく、中古でも流通しています。
Big Muff全体の定番として、選びやすい1台です。
Big Muff Piを探す:
派生モデル|Nano・Deluxe・Bassなど
Big Muffには、使い勝手を変えた派生モデルも多くあります。
| モデル | 特徴 | こんな人に |
|---|---|---|
| Nano Big Muff Pi | 小型筐体の標準モデル | ボードの省スペースを優先したい人 |
| Deluxe Big Muff Pi | 機能を追加した上位モデル | 1台で音を作り込みたい人 |
| Bass Big Muff Pi | ベース向けの専用モデル | ベースで轟音を出したい人 |
小型のNanoは、省スペースなボード作りに向きます。
Nanoを入れた小型ボードの例は、こちらです。
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使用アーティスト早見表|型と確度
この記事で触れたアーティストを、表にまとめました。
確度は、型を確認できた度合いです。
| アーティスト | 型 | 確度 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| デヴィッド・ギルモア | Ram's Head(主力)、Triangle(2006年ツアー) | 高 | Kit Rae氏・Gilmourishの調査 |
| J・マスシス | Ram's Head(ヴィンテージ) | 高 | Kit Rae氏。本人モデルも発売 |
| アーニー・アイズレー | Ram's Head | 中 | Kit Rae氏・EHX公式 |
| ビリー・コーガン | Op-Amp(1970年代後半) | 中 | 本人の2009年ブログとされる(二次情報)・EHX公式 |
| サーストン・ムーア | Russian(Sovtek製。細かな型は不明) | 中 | 本人の2020年オークション説明 |
| ジョン・フルシアンテ | Big Muff Pi(型は不明) | 製品名のみ | 機材紹介。型は未確認 |
| ジャック・ホワイト | Big Muff Pi(型は不明) | 製品名のみ | 『Elephant』期の機材紹介 |
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タイプ別の選び方
| 目指す音 | おすすめの型 |
|---|---|
| Pink Floyd・Dinosaur Jr.の太く伸びる音 | Ram's Head(再発または本人モデル) |
| Smashing Pumpkinsの音 | Op-Amp |
| Sonic Youthの重い壁 | Green Russian |
| 初代の荒々しさを試したい | Triangle |
| まず定番を1台 | 現行のBig Muff Pi |
Big Muffは、単体だと音が埋もれることもあります。
歪みの重ね方や、ほかのファズとの比較も知っておくと、失敗が減ります。
歪み全般の選び方は、こちらです。
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Big Muffの種類に関するよくある質問
Q. 初心者は、どの種類から買うべきですか?
迷ったら、現行のBig Muff Piが無難です。
目指すアーティストが決まっているなら、その型の再発を選んでください。
Q. TriangleとRam's Headは、何が違いますか?
年代と回路が違います。
Triangleは初代で、荒々しく輪郭が出やすいといわれます。
Ram's Headは第2世代で、中域が削れた太い音です。
ただし、個体差が大きいため、一概には言い切れません。
Q. ギルモアが使った型は、どれですか?
主力は、Ram's Headです。
2006年のツアーでは、Triangleも使われました。
1990年代のSovtek製Civil Warについては、資料が割れています。
ツアーで使ったとする説と、Ram's Headとする説があります。
Q. ヴィンテージの個体と、再発は同じ音ですか?
同じ音ではありません。
70年代の個体は、部品の値がバラバラでした。
再発は特定の回路を再現しますが、個体差までは再現できません。
Q. ギルモアに近づくには、どれを買えばいいですか?
Ram's Head系が近道です。
音作りの詳細は、ギルモアの記事にまとめています。
まとめ|好きなアーティストから、型を選ぼう
この記事のまとめ
Big Muffは、時代ごとに音が違います。
太く伸びる音ならRam's Headが目安です。
コーガンの音ならOp-Amp、重い壁ならRussianを選びます。
まず1台なら、現行のBig Muff Piが無難です。