今回は歴代名機から最新モデルまで20種類を徹底解説。各モデルの特徴・爆発力・変態度を評価しつつ、筆者自身が所有・使用しているペダルの体験談もあわせてお伝えします。
ファズエフェクターとは?
ファズは、オーバードライブやディストーションとは異なり、波形を激しく歪ませることで生まれる独特なサウンドが特徴です。その音圧と粗さは、ギタリストが表現したい激しさやエモーショナルな一面を引き出してくれます。特にローファイなトーンや、サステインが長く続く音色は、他の歪み系エフェクターにはない魅力です。
ファズには大きく2種類のトランジスタが使われています。ゲルマニウムは温かみがあってボリュームへの追従性が高く、ビンテージなブルース・クラシックロックに最適。シリコンはより攻撃的でタイトなサウンドで、グランジやシューゲイザーに向いています。
ファズエフェクターの歴史
ファズは1962年、アメリカのレコーディング中に機材が故障し「壊れた音」が偶然生まれたことがきっかけとされています。その後1964年にRolling StonesがTone Benderを使用、1967年にジミ・ヘンドリックスがFuzz Faceで世界を驚かせたことで一気に普及。1969年にはEHX Big Muffが登場し、ファズの代名詞的存在となりました。一度は人気が落ちたものの、90年代にNirvanaやSmashing Pumpkins、My Bloody Valentineがグランジ・シューゲイザーサウンドで再び世界中のギタリストをファズ沼に引きずり込みました。
ファズエフェクターの選び方
① サウンドキャラクターで選ぶ
ファズには大きく3つの方向性があります。ビンテージ系(Fuzz Face、Tone Benderなど)はボリューム追従性が高く表現力豊か。モダン/ハイゲイン系(Big Muffなど)は分厚い壁サウンドに強い。変態系(Fuzz Factoryなど)は発振・ノイズ込みの実験的なサウンドを楽しめます。
② ジャンルで選ぶ
ジャンル別おすすめ早見表
- ブルース・クラシックロック → Fuzz Face、Fuzz Face Mini
- グランジ・オルタナ → Big Muff Pi、Green Russian Big Muff
- シューゲイザー → Shields Blender、Big Muff
- 実験・ノイズ → Fuzz Factory、Death By Audio Fuzz War
- コスパ重視・初心者 → Behringer SF300、Boss FZ-5
③ 予算で選ぶ
予算別おすすめ
- 〜5,000円:Behringer SF300(まず試してみたい方に)
- 1〜2万円:Big Muff Pi、Dunlop Fuzz Face Mini、Boss FZ-5
- 2〜4万円:Fuzz Factory、EQD Hoof、JHS Muffuletta
- 4万円〜:Shields Blender、Analogman Sunface、Spaceman Sputnik III
ファズエフェクターおすすめ20選
以下の20選では、オススメ度・爆発力・変態度を★5段階で評価します。
1. Electro-Harmonix Big Muff Pi
サウンドの特徴
ビッグマフは、分厚く粘りのあるディストーションが特徴。特にサステインが長く、激しいリードや分厚いリフに最適。爆発力はまさにファズ界の王者と言える存在です。特にジャック・ホワイトやビリー・コーガンが愛用していることでも有名。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★★☆
- 爆発力:★★★★★
- 変態度:★★☆☆☆
オルタナ好きには必須のエフェクター。ビッグマフの中にもいくつかバリエーションがあり、筆者はラムズヘッドを愛用しています。壁サウンドを手っ取り早く作れるのが最高で、一発踏むだけで一気にオルタナの世界に入れます。

使用ギタリスト
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2. ZVEX Fuzz Factory
サウンドの特徴
Fuzz Factoryは、極端なゲインとノイズが特徴のハイゲインファズ。発振や暴れるようなサウンドが持ち味で、まさに「変態ファズ」として有名です。オススメ度はやや分かれるが、その独創性に魅了されるプレイヤーも多いです。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★☆☆
- 爆発力:★★★★☆
- 変態度:★★★★★
使用ギタリスト
- ジョン・フルシアンテ(Red Hot Chili Peppers)
- マシュー・ベラミー(Muse)
3. Dallas Arbiter Fuzz Face
サウンドの特徴
Fuzz Faceは、ジミ・ヘンドリックスが愛用したことで有名なクラシックファズ。丸みを帯びたサチュレーションが心地よく、ギターのボリューム操作で多彩な表現が可能。ビンテージサウンドを求めるならこれ一択と言えるでしょう。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★★★
- 爆発力:★★★☆☆
- 変態度:★★☆☆☆
使用ギタリスト
- ジミ・ヘンドリックス
- デヴィッド・ギルモア(Pink Floyd)
4. Wren and Cuff Tri Pie 70
サウンドの特徴
Tri Pie 70は、70年代のビッグマフを再現したハイゲインファズ。濃密で分厚い音圧が特徴で、特にリードプレイでの抜けが良く、壁のようなサウンドを作り出します。粘り強いトーンが好きな方におすすめです。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★★☆
- 爆発力:★★★★☆
- 変態度:★★★☆☆
使用ギタリスト
- ダン・オーバック(The Black Keys)
5. Death By Audio Fuzz War
サウンドの特徴
Fuzz Warは、圧倒的な破壊力を誇るハイゲインファズ。激烈なディストーションサウンドが特徴で、ノイズロックや実験音楽シーンで重宝されています。音の壁を作り出すにはもってこいの一台です。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★☆☆
- 爆発力:★★★★★
- 変態度:★★★★☆
使用ギタリスト
- オリヴァー・アッカーマン(A Place to Bury Strangers)
6. Dunlop Jimi Hendrix Fuzz Face Mini
サウンドの特徴
ジミ・ヘンドリックスのシグネチャーモデルで、クラシックなビンテージトーンを手軽に再現。丸く甘いファズサウンドが特徴で、ブルースやロックに最適。持ち運びが楽なコンパクトサイズも魅力です。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★★☆
- 爆発力:★★★☆☆
- 変態度:★★☆☆☆
使用ギタリスト
- ジミ・ヘンドリックス
- エリック・ジョンソン
7. EarthQuaker Devices Hoof Fuzz
サウンドの特徴
ビッグマフとトーンベンダーの中間を狙ったような音色が特徴。ミッドレンジがしっかりと出ており、バンドアンサンブルでも埋もれにくい点がポイント。適度な変態性を持ちつつ、使い勝手が良い一台です。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★★☆
- 爆発力:★★★☆☆
- 変態度:★★★☆☆
使用ギタリスト
- ジェイミー・ステイプルトン(The Black Angels)
8. Way Huge Swollen Pickle
サウンドの特徴
Swollen Pickleは、ビッグマフ系のファズながらも、より激しいサチュレーションが特徴。低音域が強調されており、ヘヴィなリフや厚みのあるリードに最適です。操作性が高く、幅広い音作りが可能。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★★☆
- 爆発力:★★★★★
- 変態度:★★★☆☆
使用ギタリスト
- トロイ・ヴァン・リーウェン(Queens of the Stone Age)
9. Boss FZ-5
サウンドの特徴
FZ-5は、ビンテージファズの名機をモデリングしたデジタルファズ。Fuzz Face、Octavia、Maestro FZ-1Aのサウンドを再現でき、多機能でありながらも扱いやすい点が魅力です。安定した出音が特徴で、ライブでも安心。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★☆☆
- 爆発力:★★☆☆☆
- 変態度:★★☆☆☆
使用ギタリスト
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- ジョシュ・ホーミ(Queens of the Stone Age)
10. Behringer SF300 Super Fuzz
サウンドの特徴
SF300は、BOSS FZ-2 Hyper Fuzzをベースにした3モード切り替え対応のファズ。クラシックファズ・グランジ・ゲインブーストの3種類のサウンドを、専用のGain/Treble/Bass/Levelコントロールで自在に調整できます。実売10,000円前後という驚きの価格帯ながら、本格的なファズサウンドが手軽に得られます。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★★★
- 爆発力:★★★★★
- 変態度:★★★☆☆
実はこれも所有しています。10,000円以内でここまで鳴るのかと最初は驚きました。グランジモードに設定するとニルヴァーナっぽい歪みが簡単に作れるし、さらにゲインを上げると全てを破壊するような悪魔的サウンドにもなります。格安でぶっ壊れた最強ファズサウンドが作れる、コスパ最強の一台です。
モード1と2の中間(2.5モード)にスイッチを置くと独特のブレンドサウンドが出る隠し技もあり、5,000円以上の遊び方ができます。
使用ギタリスト
- 初心者〜中級者に広く愛用されているコスパ最強モデル
11. Fulltone '69 MKII
サウンドの特徴
'69 MKIIは、クラシックなゲルマニウムトランジスタを使用したビンテージファズ。暖かみのあるサウンドとナチュラルな歪みが特徴で、ボリューム操作に反応しやすく、ブルースからクラシックロックまで幅広く使えます。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★★☆
- 爆発力:★★★☆☆
- 変態度:★★☆☆☆
使用ギタリスト
- エリック・ジョンソン
12. Zvex Woolly Mammoth
サウンドの特徴
Woolly Mammothは、極太の低音域が特徴のベース用ファズ。ギターにも使用でき、その独特な重低音サウンドはノイズ系や実験音楽シーンでも人気です。コントロールが直感的で、幅広い音作りが可能です。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★☆☆
- 爆発力:★★★★☆
- 変態度:★★★★☆
使用ギタリスト
- ジャスティン・チャンセラー(Tool)
13. EHX Green Russian Big Muff
サウンドの特徴
Green Russian Big Muffは、ロシアンマフの伝説的なサウンドを現代に蘇らせたモデル。中低域が豊かで、バンドサウンドに埋もれない分離感が特徴です。パワフルで太いトーンが、グランジやオルタナに最適。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★★★
- 爆発力:★★★★☆
- 変態度:★★☆☆☆
使用ギタリスト
14. Black Arts Toneworks Pharaoh Fuzz
サウンドの特徴
Pharaoh Fuzzは、クラシックなファズサウンドに加えてモダンなハイゲインもこなせる多機能ファズ。特に低音の厚みが強調され、スタックアンプとの相性が良いのが特徴です。ヘヴィロックからドゥームメタルまで対応可能。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★★☆
- 爆発力:★★★★★
- 変態度:★★★☆☆
使用ギタリスト
- マット・パイク(High on Fire)
15. Keeley Fuzz Bender
サウンドの特徴
Fuzz Benderは、ゲルマニウムとシリコンを組み合わせたハイブリッド設計。独特の倍音成分を含むファズトーンが特徴で、ゲインを上げてもクリアさを保つ点が魅力。特にオルタナティブやインディー系ギタリストに人気です。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★★☆
- 爆発力:★★★☆☆
- 変態度:★★★☆☆
使用ギタリスト
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- ニック・ヴァレンシ(The Strokes)
16. JHS Muffuletta
サウンドの特徴
Muffulettaは、歴代のビッグマフサウンドを一台に詰め込んだ多機能ファズ。スイッチで、クラシックからモダンまで6種類のファズサウンドを切り替え可能。ビッグマフファンには堪らない贅沢な一台です。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★★★
- 爆発力:★★★★☆
- 変態度:★★★☆☆
使用ギタリスト
- ジョシュ・スコット(JHS Pedals)
17. Wampler Velvet Fuzz
サウンドの特徴
Velvet Fuzzは、ファズとディストーションの中間を狙ったハイブリッドペダル。低音がしっかり出るファズモードと、よりカッティング向きのディストーションモードを切り替え可能。サウンドの太さと高音の抜けが絶妙です。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★★☆
- 爆発力:★★★☆☆
- 変態度:★★☆☆☆
使用ギタリスト
- トム・クイン(The Darkness)
18. Catalinbread Karma Suture
サウンドの特徴
Karma Sutureは、倍音豊かなサウンドが特徴のハーモニックファズ。トランジスタとダイオードを組み合わせた独特の設計で、太さと鋭さが両立した音が魅力です。クリーントーンと混ぜると独特の艶感が際立ちます。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★★☆
- 爆発力:★★★☆☆
- 変態度:★★★★☆
使用ギタリスト
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- マシュー・ベルラミー(Muse)
19. Spaceman Effects Sputnik III
サウンドの特徴
Sputnik IIIは、ゲルマニウムトランジスタを採用したクラシックファズ。オールドスクールな音色と現代的な操作性を両立しており、ファズ特有の暴れ感と暖かさが同居しています。音圧とサチュレーションが特徴です。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★★☆
- 爆発力:★★★★☆
- 変態度:★★★☆☆
使用ギタリスト
- トロイ・ヴァン・リーウェン(Queens of the Stone Age)
20. Fender Shields Blender
サウンドの特徴
Shields Blenderは、My Bloody Valentineのケヴィン・シールズが愛用する極端なファズトーンが特徴。特にリバースリバーブと組み合わせた際の轟音サウンドは、まさにシューゲイズの象徴。激しい歪みながらも独特の美しさが際立ちます。
オススメ度・爆発力・変態度
- オススメ度:★★★★★
- 爆発力:★★★★☆
- 変態度:★★★★★
実は筆者も所有しています。マイブラ好きなら絶対に踏むべき一台。SAGのノブを動かすとブツブツと音が切れるような独特のサウンドになり、あの轟音シューゲイザーサウンドが足元で作れます。飛び道具としての使い方が特に面白く、ライブで踏んだ瞬間の圧力は格別です。

使用ギタリスト
ファズの使い方・セッティングのコツ
エフェクターボードでの接続順
基本の接続順:ギター → ファズ → ワウ → コンプ → OD/Dist → モジュレーション → 空間系 → アンプ
ファズはできるだけギターに近い位置(チェーンの先頭)に置くのが基本です。バッファーを通した後にファズを繋ぐと音痩せやキャラクターの変化が起きやすいため、ファズ → ワウの順番が推奨されています。
ギターのボリュームを活用する
ファズ最大の特性はギターのボリュームへの追従性です。特にゲルマニウム系のファズ(Fuzz Face、Fulltone '69など)は、ギターのボリュームを絞ると一気にクリーンに近づきます。ファズを踏みっぱなしにしながらギター側のボリュームで歪みの量をコントロールすることで、音色のバリエーションが大きく広がります。
アンプ設定のコツ
ファズはアンプのゲインを上げすぎると音が潰れてしまいます。アンプはクリーン〜クランチ設定で使い、歪みはファズ側で作るのが基本。特にビンテージ系ファズはアンプのキャラクターを活かすことで真価を発揮します。
ファズエフェクターに関するよくある質問
Q. ファズはオーバードライブやディストーションと何が違うの?
ファズは3つの歪み系の中で最も「壊れた」サウンドが特徴です。オーバードライブはアンプが自然に歪む音を再現、ディストーションは強めの歪みで比較的タイトなサウンド。ファズは波形を極端にクリップさせるため、ジャリジャリとした独特の粗さとサステインが生まれます。
Q. ゲルマニウムとシリコン、どっちを選べばいい?
ビンテージ系の暖かいサウンドが欲しい方はゲルマニウム(Fuzz Face、Fulltone '69など)、攻撃的でタイトなサウンドが欲しい方はシリコン(Big Muff、Fuzz Factoryなど)がおすすめです。ゲルマニウムはギターのボリュームへの追従性が高く表現力豊か、シリコンは安定感があり扱いやすいのが特徴です。
Q. ファズを初めて買うなら何がおすすめ?
まず試してみたいならBehringer SF300(5,000円前後)が最もコスパが高くおすすめです。本命の一台を選ぶなら、グランジ・オルタナ系はEHX Big Muff Pi、ビンテージ・ブルース系はDunlop Fuzz Face Mini、シューゲイザー系はFender Shields Blenderが定番の選択肢です。
Q. ファズはエフェクターボードのどこに置けばいい?
基本はギターの直後(チェーンの先頭)が鉄則です。バッファーを通した後にファズを繋ぐと音痩せやキャラクター変化が起きやすいため注意が必要です。ワウペダルと組み合わせる場合は「ギター → ファズ → ワウ」の順番が推奨されています。
Q. ファズはどんなジャンルに合う?
グランジ・オルタナ(Nirvana、Smashing Pumpkins)、シューゲイザー(My Bloody Valentine)、ブルース・クラシックロック(Jimi Hendrix、Eric Clapton)、ノイズ・実験音楽まで幅広く使えます。近年ではインディーロックやサイケポップでもファズは定番のサウンドになっています。
Q. Big Muffにはたくさん種類があるけど何が違うの?
Big Muffは年代や製造国によってサウンドが大きく異なります。代表的なものは「トライアングル期(初期)」「ラムズヘッド期(70年代)」「ロシアン期(ソビエト製)」の3種類。ラムズヘッドはミッドが出やすくバンドサウンドに馴染みやすく、ロシアンは中低域が太いのが特徴です。筆者はラムズヘッドを愛用しています。
まとめ:自分だけの一台を見つけよう
筆者自身もBig Muff(ラムズヘッド)とShields Blenderを愛用していますが、それぞれ全く異なる場面で使い分けています。まず一台試してみるならBehringer SF300(5,000円前後)でファズの世界を体験し、気に入ったら自分のジャンルに合った本命を選ぶというルートがオススメです。
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