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この記事でわかること
- MXR Phase 90の歴史と誕生の背景
- スクリプトロゴ・ブロックロゴの音の違い
- フェイザーの基本的な仕組みとPhase 90のサウンドキャラクター
- ジミ・ヘンドリックス、エディ・ヴァン・ヘイレン、ジョン・フルシアンテなど使用アーティスト
- Boss PH-3・Electro-Harmonix Small Stoneとの比較
- 初めてのフェイザーとして選ぶべき理由と価格帯
「フェイザーペダルの最初の一台をどれにすべきか」という問いに、筆者は迷わずMXR Phase 90を挙げます。1974年の誕生から半世紀以上にわたって第一線で使われ続けるこのオレンジ色のペダルは、ロック史上最も録音に使われたフェイザーと言っても過言ではありません。シンプルなノブ1つの構造でありながら、そのサウンドの深さは今なお多くのプロギタリストを魅了しています。
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MXR Phase 90とは?──歴史と基本スペック
誕生の背景
MXR Phase 90は1974年にMXR Innovations(現・Jim Dunlop)が発売したアナログフェイザーペダルです。世界初の量産型コンパクトフェイザーペダルのひとつとして登場し、発売直後から多くのロックギタリストに採用されました。
フェイザーとは、原音とわずかに位相をずらした信号をミックスすることで、独特の「うねり」を生み出すモジュレーションエフェクターです。Phase 90はこの効果を4ステージのオールパスフィルター回路で実現しており、スピード(速度)ノブ1つだけというシンプルな設計が、発売から50年以上経った現在でも変わらず愛される理由のひとつになっています。
MXRはもともとロチェスター工科大学の学生だったKeith Barr氏とTerry Sherwood氏が1972年に創業したブランドです。Phase 90はその初期の代表作として、コンパクトエフェクター市場の黎明期を牽引しました。
スクリプトロゴとブロックロゴ──2種類のPhase 90
Phase 90を語るうえで避けて通れないのが「スクリプトロゴ」と「ブロックロゴ」の違いです。
初期(1970年代)に生産されたモデルは、筆記体で「Phase 90」と書かれたスクリプトロゴ仕様で、フィードバック抵抗の値が現行品とは異なります。この仕様はサウンドがよりウォームかつなだらかで、うねりが穏やかと評されます。一方、量産コスト削減のために仕様変更されたブロックロゴ期(1980年代以降)は、より速くシャープなうねりが特徴とされています。
現行のM101(標準モデル)はブロックロゴ仕様がベースですが、Jim Dunlopは「Script Logo Phase 90」(M101-SL)として初期回路を再現したモデルも現行ラインナップに加えており、両方の音を試すことができます。
| 仕様 | スクリプトロゴ(初期) | ブロックロゴ(現行M101) |
|---|---|---|
| 生産時期 | 1970年代 | 1980年代〜現在 |
| サウンドキャラクター | ウォームでなめらか、うねりが穏やか | シャープでパンチのあるうねり |
| 現行品 | M101-SL(Script Logo)として販売中 | M101として販売中 |
| 代表的な使用者 | エディ・ヴァン・ヘイレン(初期) | ジョン・フルシアンテなど多数 |
基本スペック・コントロール
Phase 90のコントロールはたった1つ──「SPEED」ノブのみです。このノブを左に回すと遅いゆったりとしたうねりが得られ、右に回すと速い激しいビブラートに近い揺れになります。電源は9V電池またはDCアダプター対応。インプット/アウトプット各1系統のモノラル仕様です。
シンプルゆえに「使いこなしにくそう」と感じるかもしれませんが、このSPEEDノブ1本で驚くほど幅広いサウンドをカバーできるのがPhase 90の真骨頂です。
MXR Phase 90のサウンドの特徴と音作り
フェイザーの音作り基礎知識
Phase 90のSPEEDノブは、左右でまったく異なる用途に対応します。おおまかな目安は以下の通りです。
SPEEDノブの位置と使いどころ
- 7時〜9時(最遅〜遅め):ゆったりとした深いうねり。クリーンギターのアルペジオやコードに混ぜるとサイケデリックな揺れが生まれる
- 9時〜12時(遅め〜中速):最も汎用性が高いゾーン。歪みと組み合わせてロックリフに「立体感」を加えるのに最適
- 12時〜3時(中速〜速め):ファンクやカッティングに合う躍動的なうねり。ジョン・フルシアンテが多用するレンジ
- 3時〜5時(速め〜最速):強烈なトレモロに近い効果。ソロやリードでの個性付けに
サウンドキャラクターの解説
Phase 90最大の特徴は「アナログ回路ならではの有機的なうねり」にあります。デジタルフェイザーが精密なLFO波形で整然とした揺れを生み出すのに対し、Phase 90の揺れは少し「呼吸している」ように感じられます。これはアナログのオペアンプ回路が持つわずかな非直線性から来るものであり、長年愛される最大の理由のひとつです。
歪みペダルの前段に置くか後段に置くかでもサウンドが大きく変わります。前段(歪みの手前)では原音にフェイザーがかかってから歪むため、うねりが歪みに溶け込んで「音の揺らぎ」として聴こえます。後段(歪みの後)では歪んだサウンド全体がうねるため、よりはっきりとしたフェイザー感が出ます。エディ・ヴァン・ヘイレンは前段配置、ジョン・フルシアンテは後段配置が多いとされており、同じPhase 90でも接続順でまったく異なる個性を引き出せます。
おすすめセッティング例(用途別)
①クリーンギター・サイケデリック用(ゆっくりうねり)
SPEED:8時〜9時
クリーントーンのアルペジオやコードに薄くかけるセッティング。ビートルズやピンク・フロイド的なサイケデリックな揺れを演出します。TONEが明るいギターとの相性が特に良いです。
②ロックリフ・ハードロック用(中速)
SPEED:10時〜11時
エディ・ヴァン・ヘイレンの「Eruption」や「Ain't Talkin' 'Bout Love」的なフェイザーサウンド。歪みペダル(ディストーション/オーバードライブ)の前に置いて使うのが王道です。
③ファンク・カッティング用(やや速め)
SPEED:1時〜2時
ジョン・フルシアンテがレッチリのファンクナンバーで見せるような躍動的なカッティングサウンド。歪みの後段に接続して、リズムギターに動きを加えます。
④ソロ・リード用(速め)
SPEED:2時〜3時
速めのうねりでリードトーンに個性を加えるセッティング。歪みと組み合わせることで、単音ソロが浮き上がるような効果が得られます。
動画で聴く:MXR Phase 90のサウンドデモ
MXR Phase 90を使用しているギタリスト・アーティスト
Phase 90はロック史上最も多くの名曲に使われたフェイザーです。ここでは特に有名なユーザーを紹介します。
エディ・ヴァン・ヘイレン(Eddie Van Halen / Van Halen)
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エディ・ヴァン・ヘイレンはPhase 90と最も強く結びついたギタリストです。Van Halenのデビューアルバム(1978年)収録の数多くのリフやソロにPhase 90が使われており、彼のブラウンサウンドの中核をなしています。使用していたのはスクリプトロゴ期の初期モデルで、歪みの前段(マーシャルアンプの手前)に置くことで、あの独特の「渦を巻くような」フェイザーサウンドを生み出していました。この影響から、Jim DunlopはEVHシグネチャーモデル「EVH90」を製品化しています。
動画で聴く:EruptionにおけるPhase 90サウンド
Eddie Van Halen × MXR EVH Phase 90|タッピングをドラマチックに彩った揺らぎの魔法
【徹底解説】エディ・ヴァン・ヘイレンの使用エフェクター ブラウンサウンドの核心に迫る
ジョン・フルシアンテ(John Frusciante / Red Hot Chili Peppers)
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ジョン・フルシアンテはRed Hot Chili Peppersにおける最重要の音作りパーツとして長年Phase 90を使い続けています。クリーントーンのカッティングからドライブを踏んだソロまで、あらゆる場面でPhase 90を活用するのが彼のスタイルです。特にファンクナンバーでのリズムギターにPhase 90を踏んだときの「うねるカッティング」は、多くのギタリストが目指す音のひとつになっています。
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ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)
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ジミ・ヘンドリックスはPhase 90登場以前のアーティストですが、フェイザー的なサウンドを多用したパイオニアであり、後のPhase 90ユーザーたちに多大な影響を与えました。彼が実際に使用したのはUnivox Uni-Vibeというフェイザー/コーラス系エフェクターですが、そのサイケデリックなトーンはPhase 90の「遅いうねり」セッティングで近い質感を再現できます。ジミ・ヘンドリックスのサウンドに触発されてPhase 90を手にしたギタリストは数知れません。
その他の著名なPhase 90ユーザー
MXR Phase 90は世代やジャンルを超えて使われ続けています。トム・モレロ(Rage Against the Machine)はPhase 90をボードの定番として組み込んでおり、ファンク・グランジ・オルタナ・ハードロックとあらゆるジャンルのギタリストのエフェクターボードに収まり続ける懐の深さがPhase 90の真骨頂です。
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Phase 90と競合モデルの比較
MXR フェイザーシリーズの比較
| モデル | 発売 | ステージ数 | 主な特徴 | 実勢価格(目安) |
|---|---|---|---|---|
| Phase 90(M101) | 1974年〜 | 4 | 1ノブのシンプル設計。現行スタンダード機 | 新品:約12,000〜14,000円 |
| Script Logo Phase 90(M101-SL) | 復刻現行品 | 4 | 初期回路を再現。よりウォームなトーン | 新品:約14,000〜16,000円 |
| EVH Phase 90 | 現行品 | 4 | EVHシグネチャー。スクリプト/ブロック切替SW付き | 新品:約14,000〜16,000円 |
| CSP026 '74 Vintage Phase 90 | 現行品 | 4 | 1974年製オリジナル回路を忠実再現したCustom Shop版 | 新品:約20,000〜25,000円 |
| Phase 95(M290) | 現行品 | 2/4切替 | ミニサイズ。Script/Blockモード切替SW搭載 | 新品:約10,000〜12,000円 |
※価格はあくまで目安です。変動する場合があります。
他メーカーの競合・類似モデル比較
| モデル | メーカー | ステージ数 | Phase 90との主な違い | 実勢価格(目安) |
|---|---|---|---|---|
| Small Stone | Electro-Harmonix | 4 | COLORスイッチでキャラクター変化。よりウェットで濃厚なフェイザー感 | 新品:約10,000〜13,000円 |
| PH-3 Phase Shifter | BOSS | 4/8/10/12切替 | 多彩なステージ数とRise/Fall機能。デジタル制御で安定感◎ | 新品:約14,000〜16,000円 |
| Uni-Vibe | 各社 | — | コーラス/ビブラートモード搭載。よりトレモロ的なうねり | 新品:約15,000〜25,000円(製品により異なる) |
| Empress Phaser | Empress Effects | 最大8 | 多機能でスタジオ品質。テンポ同期やステレオ対応 | 新品:約35,000〜40,000円 |
※価格はあくまで目安です。変動する場合があります。
Phase 90は「シンプルさ」と「アナログの音楽性」という点で他の追随を許しません。BOSS PH-3はより多機能で現代的な対応力がありますが、Phase 90のアナログ回路が持つ有機的なうねりはデジタルでは完全に再現しきれない部分があります。EHX Small Stoneは同じアナログ4ステージでもCOLORスイッチでキャラクターを変えられる面白さがありますが、接続ノイズが気になるという声もあります。シンプルに扱いたい方にはPhase 90が最初の一択です。
入手方法と価格帯
MXR Phase 90(M101)は現行品として流通しており、サウンドハウスでの販売価格は税込み約12,000〜14,000円前後(時期により変動)です。発売から50年以上の実績を持つ定番ペダルだけに、新品・中古ともに安定して流通しています。
中古市場(メルカリ・ヤフオク・サウンドハウス)では7,000〜10,000円前後で見つかることも多く、まず試してみたい方には中古購入も十分おすすめできます。初期スクリプトロゴのヴィンテージ品は状態によっては高値がつくこともありますが、現行のM101-SLで初期サウンドを十分に体験できます。
まとめ──MXR Phase 90はこんな人におすすめ
MXR Phase 90は「最初のフェイザーとして間違いない選択肢」であると同時に、「ヴィンテージサウンドを気軽に手に入れたい」すべてのギタリストにとって現在進行形の名機です。ノブ1つのシンプルさは操作の敷居を限りなく低くし、それでいてSPEEDノブの全域を使いこなすことで驚くほど幅広いサウンドをカバーできます。エディ・ヴァン・ヘイレン、ジョン・フルシアンテ、そして無数のロックギタリストたちが選び続けてきた理由は、半世紀経った今もまったく色あせていません。
MXR Phase 90はこんな人におすすめ
- 初めてモジュレーション系エフェクターを買う初心者・中級者
- エディ・ヴァン・ヘイレンやジョン・フルシアンテのサウンドに近づきたい人
- シンプルな操作でアナログらしいうねりを手に入れたい人
- コンパクトな筐体でボードスペースを節約したい人
- ヴィンテージサウンドを手頃な価格で試したい人
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